
11月30日 ウィルながおかフォーラム実行委員会主催の
"生きていく力 ~潔く 自分らしく~ 松井久子監督講演”に
映写の方とともにお手伝いに参加しました。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-150.html松井監督の講演は「折り梅」上映前に開かれましたが、
これまでの映画人生を振り返るものでとても興味深く聴講していました。
俳優さんのマネージャーとして業界入りし、
「木曜ゴールデンドラマ」でいわゆる男社会のドラマ製作の中で、
女性目線のストーリーをアドバイスする形でドラマつくりに関わり、
次第にテレビドラマからお茶の間でなく、
遠いところからお客さんが出向いて観てくださる映画に目が向けられ
40代の終わりに映画の世界へ。
3年間、資金つくりに奔走した企画の脚本を生粋の映画人である新藤兼人監督に依頼。
映画界ではなんの実績のない“松井久子”が巨匠に脚本を頼むなど、
もってのほかと周囲は反対したそうですが、
依頼しないうちから諦めては、と熱意を伝えて巨匠に依頼したところ、
理解した新藤監督は快諾、しかも書き終えた後に監督もお願いできないかと依頼したところ
「男が作った映画と違う目線で女が作った映画が必ず来るし、来なければいけない」
と、新藤監督は松井監督が監督するように薦めたというエピソードを聞いて、
今は亡き映画界の巨匠、明治生まれの男っぷりに痺れておりました。
こうして出来上がった作品が松井監督のデビュー作「ユキエ」
しかし松井監督はアメリカのシステムだから作れたと、
暗に男社会である映画界の偏見などを批判してるように聞こえました。
自身のこれまでの映画つくりを振り返り
「社会的なものさしで限界を作らなかった。チャレンジ」と語り、
「自分が幸せになるためには周りの人が幸せになること」と締めていました。
「折り梅」は市民映画館をつくる会でも上映会を開いてましたが、
今回のウィルながおかフォーラムでは客席はご婦人方が中心に大盛況。
2002年の作品で当時は痴呆症と呼ばれてた認知症をテーマに、
「こわれゆく女」義母役の吉行和子が症状が出始めたころは、
その奇行に笑い声がおきたほどですが、
次第に家族崩壊の手前まで行く深刻な事態となっていき、
客席も熱くスクリーンを凝視している空気が漂っていきました。
原田枝美子扮する嫁の立場に身につまされる映画ではないかと。
ただしあるきっかけから周囲が打ち解け、
希望を提示して終わって上映後に監督が再登場すると盛大な拍手が贈られました。
悲惨な挿話がある反面「甘い」ように映るエピソードも監督によれば、
どちらも実際に介護の現場で取材した実話をもとに構成しているそうで
前向きに生きることが大事だと、その発言から強く思いました。
おそらく男社会の中で相当、辛い目に遭われたと話を聞いて伺えましたが、
挫けることなく映画つくりという自身の夢を実現していく過程、
特に新藤兼人監督とのエピソードは映画好きとしてとても興味深かったです。
この話はナマで映画ファンに聞いてほしいとも思いました。