長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

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『Peace』  想田和弘監督



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昨日の記事の続きで大林映画で戦争シーンを描いて最初に意識したのが『野ゆき山ゆき海べゆき』だったものですが、
大林監督には封印している幼児期の無邪気で残酷な戦争体験が確かにあり、
昭和二十年の夏の終戦間際の尾道のエピソードで
それは4分の一世紀前に確かに同じく長岡のNCホールの講演会で話され、
大林版『禁じられた遊び』ともいえるエピソードに聴講してた担当者はトラウマになる思いを抱いたものですが、
人づてに自らその話を解くのは封印したと聞きました。
長岡古里映画学校でも平和を説きながらも、その話はしなかったのは当然といえば当然なのですが、
いつの日かその封印したエピソードを自ら映画化してほしいと思っています。
大林監督の戦争観がすべて凝縮されたような作品になるだろうと思っています。
だから自分のまだ観ぬ映画としていつも一番に挙げているのが、
大林版『禁じられた遊び』だと…
だから『この空の花』も『野のなななのか』も自分にとってはまだまだだと、
あの日に監督自ら語った自身の戦争体験に較べれば…

そんな思いを抱いて長岡を後にしてシネ・ウインドに向かって待ってた映画のタイトルがよりによって『Peace』
観察映画の想田和弘監督が韓国の映画祭から「平和と共存」をテーマに依頼されて作ったという作品。
しかし大上段すぎるテーマと「先にテーマを決めない」ことを観察映画の原則にしてるので依頼に躊躇してたところ、
帰省した際、義父が自宅の庭で野良猫にエサをやってる姿を記録してたところ、
外部からやってきた「泥棒猫」によって猫たちの共同体が揺れていることに気づき、
猫の共存ならば映画になると直感し映画祭のオファーを受諾。
そこから猫と義父、さらに義父が高齢者や障害者の足代わりとして車の運転を仕事にしてること、
福祉事務所を経営してる義母など、その福祉関係の仕事にもキャメラを向けているうちに、
義母が生活支援をする91歳のガン患者の老人との出会いに至る。
その老人はPeaceという銘柄の煙草を愛飲しながら自身の死を見つめながら日々を過ごすが、
ある日、義母が食事の支度をする中で滔々と自身の戦時体験を話し始める…

猫はどのように共存していくのかを見つめていくうちに、
クライマックスに思いもよらなかった人から生の戦時体験に耳を傾けることになる本作。
むろん、この老人に監督はキャメラを向けながら自分が「平和」をテーマに映画を撮影してるとは一言も話してないにも関わらず、
Peaceという煙草といい、何か映画の神様が傍で見守ってるのではないかと思う奇跡が目の前で次々と起きてまめいがしそうで、
それにピースがPeaceでなくpieceの方ならば一つ一つの破片が、他に考えられない場所に進んで収まっていくような、それでいてどこへ転がるか見当つかないスリリングさも持ち合わせていた、久しぶりに映画を観ながら興奮してしまったことを白状します。

平和と共存を大上段からでなく身近な足元から見つめ観察していくことが平和への足掛かりを考察することではないか。
自分はとある平和を考える集会に誘われててそれこそ躊躇していたりし、結局行かなかったのですが、
今なら本作を観て語り合うことが少しでも平和を考える集会にふさわしいのではと思ったりしました。
特に互いを尊重し支え、支えられる本作の福祉の現場に流れるゆったりとした時間は紛れもなく平和だと感じてました。

上映後に想田和弘監督がトークで登場。
実は自分と同い年なのでずっと羨望のまなざしを送っており、
ツイッターも無論フォローしてましたが、
やはりわかりやすい言葉を心掛けて明瞭にはっきりとした口調でお話しされ、
ユーモアも交えながら大変頭の回転が速い方なのがよくわかりました。
それに自信が漲ってるせいか大変カッコ良かったです。
今ではリベラル陣営の論客としても大きな注目を集めていますが、
映画人が政治について意見を述べる姿は大局面で新聞でコメントを見かける程度になりましたが、
日常的にきちんと波風を恐れず意見を述べる数少ない貴重な映画人でもあり、
いろいろキツイだろうなぁ、と思うことはありますがこれからも応援していきたいと思っています。

想田監督の話の中でPeaceという銘柄の煙草は戦争が終わって最初に専売公社が出した煙草だそう。
それほど当時の日本は平和を待望していたという話が結構、残りました。

「作り手はピッチャーならば観賞者はバッターとして球を打ち返してほしい」

想田和弘 観察映画大全 2/21(日)~3/4(金) シネ・ウインド
連日最終日に日替わりで想田監督作全作上映
https://www.cinewind.com/news/2-21-3-4/

新作『牡蠣工場』 4月9日~ シネ・ウインド公開
http://www.kaki-kouba.com/

想田和弘監督ツイッター https://twitter.com/KazuhiroSoda 
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