花の夢

本日は『終戦の日』
長岡アジア映画祭の頃は意識して戦争をテーマにした作品を上映作の中に選んでました。
アジアの歴史と戦争は一際、大きな関係にあることとして、平和について考える機会のひとつとして。
第二次世界大戦に絞れば「キャタピラー」「海角七号」「台湾人生」「ひめゆり」「蟻の兵隊」「花の夢」「土徳」「鬼が来た!」「ナヌムの家」等々、、、
劇映画からドキュメンタリーまでありますが、一貫してるのは「終戦の日」を経ても当事者は決して戦争の記憶は失われることなく、戦いは続いているということではないかと思います。
上映した作品の中で「花の夢-ある中国残留婦人-」という小さな作品があります。
都心のアパートに猫と暮らすおばあちゃん栗原貞子さん。
かつてはお国のためにと使命に燃えて満州に渡り、「大陸の花嫁」として見知らぬ相手と結婚。
しかし夫は出征した後にソ連が侵攻。
身重ながらいのちからがらの過酷な日々を送ったあとに生きるために中国人の貧しい農民と再婚。
さらに文化大革命が待ち受け日本人であるために迫害を受ける、、、
若い女性が聞き取ったすぐ隣の戦争、
普通のおばあちゃんが実は辛い思いをたくさん抱えた大きな体験をしたことに
驚きを覚え取材を重ねて完成した作品です。
聞きなれない副題の“中国残留婦人”とは終戦時、残留した13歳以上の日本人女性を指し、
12歳以下の“中国残留孤児”と違い、13歳以上であれば正常な判断ができる大人とみなし、補償も一線を画してるとのこと。
中国に残され帰国を希望する中国残留婦人に日本政府は一切連絡をせず、
いわば国に棄てられた『棄民』として大陸で生きたそうです。
栗原さんに孫ほどの世代の若い東志津監督が記録していきます。
「満州」も「中国残留婦人」も知らなかった監督は
いつしか同じ女性として敬意を込めて取材を重ね記録していきます。
この映画を観てて大きな感銘を受けるのは栗原さんが結婚した中国人男性の姿。
日本人、中国人という括りでなく大きな人間愛を紛れもなく感じさせてくれ、
さらにラストシーンにはこの旦那さんと結ばれなかったら誕生しなかったでろう
栗原さんの家族が登場しさらに深く感動しました。
“なんでこんな戦争をしたんだろう”
栗原さんはつぶやくのですが、大きな重みを持って響きました。
「終戦の日」に思い出したい作品のひとつです。
東志津監督はゲストとしてお話くださいましたが、
次回作について尋ねたら「秘密です」と話したのが印象に残ってます。
確かこの映画の完成、公開後にフランスへと映画留学に旅立ったハズですが、
次回作を待ち望んでる監督の一人です。
http://tsukurukai.blog103.fc2.com/blog-entry-311.html
「花の夢-ある中国残留婦人-」
公式HP http://www2.odn.ne.jp/ise-film/works/hananoyume/hana1.htm
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