長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

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そして人生はつづく



「桜桃の味を忘れてしまうのか」
自殺志望の男に老人が若き日に自殺を思いとどまった話をして諭す。

イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督の訃報を知り、これまで観た作品を思い返してた中で
『桜桃の味』について、いま自分が必要な映画なのかもと思ったりしました。

‟ジグザグ道三部作”の『友達のうちはどこ?』では友達の宿題ノートを間違えてオロオロする男の子、『そして人生はつづく』は大地震にもめげず力強く復興する人々、『オリーブの林を抜けて』では若者のささやかな恋を見つめたりと、今日日何かと物騒なイメージがついてしまったイスラム社会の中で市井に生きる人々を情感豊かに描いて、映画を通してイランに慎ましく生きる人々の姿を世界に伝えた監督で、観るたびにいつもそこには驚きと湧き上がるような感動を覚えた監督でした。

特に『オリーブの林を抜けて』の延々と続くラストシーンの長廻しは
物語の男女の行方をこんな形で締めてしまうことに芸術映画の極北を観たような気がしました。

とはいうものの確かに詩情豊かなどと安易な言葉で説明できるほどヤワな監督でなく、
『クローズ・アップ』という作品では同じくイランの巨匠モフセン・マフマルバフと名乗って、
一般家庭で映画を撮ろうとして捕まった男が、ご本人自らその裁判の様子を再現して撮影してしまうという、
ドキュメンタリーというか再現フィルムというのかジャンルを容易に踏み壊してしまうのもキアロスタミの真骨頂と言えますが、
ここでは映画が好きでたまらないこの容疑者が雄弁に語る映画論、
その饒舌な姿は思わず‟テヘランのタランティーノ”と呼びたくなるような映画愛をなんの照れもなくまくしたて、
聞いてるうちにこんな映画バカがいるイランに親近感が沸いてしまうような作品でした。
ラストにこのしょぼくれた映画バカの前にあこがれのマフマルバフ監督を登場させたキアロスタミの粋な図らないも憎かったです。

遺作が日本ロケ「ライク・サムワン・イン・ラブ」となってしまいまいましたが
日本の性風俗がテーマかと思えば加瀬亮のDV男が登場後、
横路にそれたまたあんまりにも突き放したようなラストを迎えるというあっけにとられた映画でしたが、
これはこれで面白かったです。

長岡アジア映画祭では監督作は上映してませんが脚本を担当したジャファール・パナヒ監督のこれも子どもが主役の『白い風船』を上映しました。

日本に紹介時からすでに巨匠呼ばれされ『桜桃の味』で当然のようにカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。
以後もずっと現役だったので訃報を知って、もうキアロスタミ監督の新作が観れない世界を生きるのかと思うと、
とても寂しいものがありますが、キアロスタミ監督の思い出とともに『そして人生はつづく』のだろうと。

キアロスタミの映画をこれまで観て来たのは幸せに尽きます。
いい映画をたくさんありがとうございました。
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