カンフー・ヨガ

「靴の営業職に就職した満男の仕事を描写したけど、
とても大変な仕事で、せっかくお正月だから楽しもうと足を運んだお客さんに
こんな辛い姿を見せるわけにいかないと山田監督が気づいてボツとなった」
お正月映画の金字塔『男はつらいよ』シリーズの脚本を山田洋次監督と手がけていた
朝間義隆監督が確かこんな趣旨の回想を話していた記憶が。
その満男くんの大変な仕事の片鱗は47作目の『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』で伺えますが、
要はお正月なんだから明るく楽しみたいというお客さんの要望に応えるのかお正月映画の正当な役目と解釈をしたことがあり、
そんなことが思い浮かべたのが新年の元旦の映画初めにジャッキー・チェン主演の『カンフーヨガ』を観たからです。
「カンフー・ヨガ」は奇をてらったわけではない。駄作スレスレ、否駄作という人もいようが、このバカバカしさは膠着しがちな今の映画を激しく撃つ。
https://twitter.com/Hiroo_Otaka/status/946324943448322053
キネマ旬報の連載などで信頼できる映画評論家の大高宏雄氏のツイッターに日刊ゲンダイに2017年に観た中で洋画の三位に『カンフー・ヨガ』を挙げてこんなこが書かれれて、俄然興味を持ち、新年早々お仕事帰りで疲れた身体を客席に投じながら幾分用心しながら、Tジョイ長岡に足を運んで観ましたが、これが面白さでいえば申し分ない娯楽映画。
ジャッキーお得意の世界を股に掲げた冒険活劇がこれまで以上に行き当たりバッタリの出鱈目に満ち、
行く先々で騒動をお越しながら善悪をはるかに超越したお目出度い大団円へと辿り着き、
これは日本映画が忘れてしまった正しいお正月映画をジャッキーが見事に取り戻してくれたことに気づかされました。
還暦を超えたせいもあってかつての命がけのスタントは身をひそめながらも、信じられない瞬発力で奥義を極めたカンフーを見せてくれるジャッキー。
脇には中国・インドの美女を携え時に彼女たちにアクションの無茶ぶり、時にインド美人が目が覚めるほどの蹴りを入れる姿に喝采を送り、金満国家ドバイではジャッキーノリを楽しんでたこちらに不意打ちのように突き刺さる気前のいい高級車が次々と大破するカースタントがあんまりにも凄すぎたりと見どころが満載のはてに訪れる笑顔のジャッキーが躍るクライマックス。
思えば日本・中国以上に揉めててガチで仲が悪い中国・インド双方の一大ジャンル、
カンフー映画とマサラムービーをミックスさせて、今この時代へのジャッキーの世界へ向けての真摯なメッセージ
「ケンカなんか辞めて一緒に踊ろう!」
に少しの異議も挟む余地もないまさに幸福な映画との出会いを新年早々に味わいました。
やっぱりジャッキー凄いよと。
願わくば中国・インド合作で世界平和を唱えたなら、ここ数年で急速にヒビが入った日中関係和らげるような、パンダのような映画をジャッキーに期待したいと。
担当者は生粋のジャッキーファンとはいえ、最近の露骨な中国よりの発言を聞くたびに疑問を覚えていましたが、こんなにハッピーな『カンフーヨガ』が撮れるなら、日中関係をメタファーでも善い方向へ持っていくような映画を撮ってくれないだろうかと。
『新宿インシデント』はジャッキーが日本黒社会の暗部を照らして面白かったとはいえ、少しもハッピーではなかったので、おそらく日本人から一番愛されてるチャイニーズのジャッキーが日中関係をシビアに思えたならそれが出来るのではないだろうかと、こんなことを思った年初めでした。
こいつは春から縁起がいいや、と。
『カンフー・ヨガ』公式HP
http://kungfuyoga.jp/
ちなみにジャッキーが娘の敵に復讐の鬼と化す新作「The Foreigner」で一切笑顔を見せず、
これまでのイメージを脱却してるそうで、還暦を超えてさらに厚みと凄みを増していくのはまさに脱帽です。
'The Foreigner' Official Trailer (2017) | Jackie Chan
https://www.youtube.com/watch?v=b6-cSX7Iw1o
などと書いててそういえば谷垣健治さん監督のドニー・イ○ン主演の日本ロケ映画はどうみてもアクションコメディのようなので、そんなメッセージを持った映画になることを密かに期待してエキストラに登録しました。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-1737.html
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