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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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「台湾巨匠傑作選2018」 映画祭巡礼記



S東京特派員の映画祭巡礼記。

今回はケイズシネマで開催された「台湾巨匠傑作選2018」が届きました。
さらにS特派員(K)と奥様の(H)との共著で届けられましたが、次回は同じ作品を巡ってご夫妻が感想を書きあうというのも面白うに思いました。
ありがとうございます。またよろしくお願いいたします。

http://taiwan-kyosho2018.com/
↑こちらの公式HPを開いたら、今回の特集上映には“レジェンド”のキン・フーの大傑作二本は別格としてホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャン、アン・リーの絶頂期の代表作が続けざまに上映され、これらが日本公開時に時折、東京まで足を運んで観に行った担当者にとってとても思い出深い作品なので、タイトルを眺めながら名シーンが浮かんだりして感慨深いものがありました。
特に『恋恋風塵』のラストシーンを超えるラストシーンは、これからも出てこないだろうと。

あと、それらより下の世代の『藍色夏恋』の瑞々しさと眩しさは、たぶんずっと色褪せないだろうと思ってます。

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新宿ケイズシネマで4月28日から「台湾巨匠傑作選2018」が開催されました。
そこで上映された作品のうち何本か見れた作品があったのでその感想を書きたいと思います。

ここ数年過去の台湾映画のデジタルリマスター化が進みあまり現在では見られなくなった名作が次々と再上映されるようになりました。
最近の話題は4時間もある大作『クーリンチェ少年殺人事件』でしょうか。
この映画を生み出した台湾ニューシネマや台湾映画史に関するドキュメンタリーを含めてざっくり台湾ニューシネマ以降の台湾が一望できる特集だったと思います。

『あの頃、この時』2014年 ヤン・リーチョウ監督
台湾金馬奨50周年を記念して製作されたドキュメンタリー。
第1回は1962年。行政院新聞局が創立、台湾語映画は対象外、授賞式は蒋介石の誕生日とかなり政治的な初期、徐々に民間に運営が移行、現在は中国語映画全体をもっとも公平に評価する映画賞を目指すまでに至る映画祭の歴史が台湾の現代史と重ねて振り返られる。
50年にわたる台湾映画史と台湾現代史が一望される。(K)

『台湾新電影時代』2014年 シエ・チンリン監督
台湾ニューシネマとはなんだったのかを海外に与えた影響と当事者たちの証言で綴ったドキュメンタリー。
この映画を見ての私なりのニューシネマについての理解はこんな感じです。
「いままであった商業的な制約なしに自由に作られた映画が海外映画人、映画ファンには新鮮に映り、台湾や台湾映画の存在を国際的にアピールすることになる。ただしこうした国際的な評価を得たことが台湾映画界に与えた影響は功罪もあった」(K)

『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』1967年 キン・フー監督
実は今回の上映では見ていないのですが去年のリバイバルで見たのでその時の感想です。
邦題でわかるようにちゃんと日本で公開された映画ですが私が最初に見たのは80年代でレーザーディスクでした。キン・フーが台湾の黒澤明なんて紹介された頃です。
荒野に一軒だけ建つ旅籠の中という限定空間で繰り広げられるアクションのアイデアの密度にクラクラしたのを覚えています。
その頃見ていた香港の武侠映画で娯楽としては残酷でハードすぎる映画が時々ありましたがそれの源流にして完成形のようなアクション映画です。
ラストの最強の敵ボスとの延々と続く死闘が壮烈。(K)

『侠女』1971年 キン・フー監督
これも武侠映画ですが前編後編あわせて3時間という大作。
後年の香港映画のようなアクション俳優の演技やワイヤーアクションを使わず編集とトランポリンで超人的な剣士たちの死闘を表現します。
どちらかというと華麗なアクション。
竹林でのアクションシーンなど語り草になるような名場面が多いです。
また原作の超自然的な要素はなくしてひたすら人間同士の闘争に変えたことでラストに驚愕の展開が。
これには本当にビックリしました。(K)

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『光陰的故事』1982年エドワード・ヤンほか
台湾ニューシネマの最初の作品として有名な映画。4本の短編を集めたオムニバス映画で、60年代から80年代までを舞台にした子供から20代までを主人公にしてノスタルジックな過去から発展した都会の生活まで台湾の成長を描く構成。
第2話がエドワード・ヤン監督のデビュー作。
最終話の都会に引っ越してきた若夫婦の妻役がシルヴィア・チャンでした。(K)

『坊やの人形』1983年 ホウ・シャオシェン、ソン・ジュアンシャン、ヤン・レン監督
前年の『光陰的故事』に続くオムニバス映画。今回はすべて黄春明原作。
60年代を舞台にしたノスタルジックな3本立て。
すでに長編3本を監督しているホウ・シャオシェンの『坊やの人形』、ソン・ジュアンシャン『シャオチの帽子』は日本、『スーパーシチズン超級大国民』のワン・レンの『りんごの味』はアメリカというように当時の台湾の屈折が物語の背景に見えるのが興味深い。(K)

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『風櫃の少年』1983年 ホウ・シャオシェン監督
田舎の町で暮らす少年たちが都会に出て仕事を始め恋もしたりしたもののあまりうまくいかずまた故郷に戻って生活する、という特にドラマチックなストーリーがなく日常生活を淡々と描くという典型的な台湾ニューシネマの特徴が見れる映画。
主人公を演じたニウ・チェンザーは『モンガに散る』『軍中楽園』などで知られるいまやすっかり台湾の有名映画監督です。(K)

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『台北ストーリー』1985年 エドワード・ヤン監督
都会で生きる一組の恋人。
男は過去に生き、女は台湾にとらわれず生きようとする。
当時の価値観の混乱を表しているようなストーリー。
海外からの文化があふれる台北の町並み、寒々としたオフィス街などロケーション撮影でとらえられた台北の風景が魅力的。
主人公を演じているのはなんとホウ・シャオシェン。
予算がなくてスター俳優が使えなくて素人を器用するのも台湾ニューシネマの特徴。これがリアリティーを出してもいます。(K)

『恐怖分子』1886年 エドワード・ヤン監督
初めてこの映画を見たのはレーザーディスクで、その後1996年に劇場公開されたときにも見ましたがとにかく難解というかよくわからない映画という印象でした。画面も暗かった…
今回のデジタルリマスター版は他の同時期の台湾映画のリマスターと同じ傾向なのですが、フィルムでの上映と同等の映像を目指しているような映像なのであまり印象は変わらず。
むしろ最近WOWOWで放送されたもののほうがはっきりした映像でこの映画の本来の意図が伝わったように思いました。
これがいいことなのかどうかは難しいことだと思いますが。(K)

『ナイルの娘』1987年 ホウ・シャオシェン監督
日本初公開時に見てるのですが内容をすっかり忘れてました。
当時あまりよかった記憶がなかったのですが今回見返してみてけっこう面白いと思いました。
現代の台北が舞台の女子高生が主人公の青春ものという映画で、日本ではベネチアグランプリの『悲情城市』という大作の直後に公開されたので損をしたのかもしれないです。
実際の制作順は『ナイルの娘』のほうが早く、『悲情城市』の原型的な部分が感じられたしホウ・シャオシェンの80年代台北の描写も興味深い見所だったと思います。
ちなみにこの頃の日本に於けるホウ・シャオシェンの映画の公開本数はすごくて89年が2本で90年がなんと4本。大ブームだったといえます。(K)

『スーパー・シチズン 超級大国民』1995年 ワン・レン監督
今の日本では、台湾は「手軽な旅行先」というのがもっともポピュラーなイメージなのかな?と思います。
あるいは最近では都内にタピオカミルクティーなどの台湾式スイーツのお店も増えて、さらに身近に感じられるようになったのではないでしょうか。
しかしその歴史は複雑で、台湾の歴史を扱った映画を観るたびに、隣国なのに(しかも自分は一応中国語を勉強し、中華圏に多少なりとも興味を持っていたはずなのに)、まったく知らなかった事実を次々に知ることになり、このままではいけないと思わされます。
この『スーパーシチズン 超級大国民』は、50年代、戒厳令下の台湾を描いた作品です。
政治的な読書会に参加したことがきっかけで逮捕されてしまった主人公が、獄中で友人の名前をばらしてしまい、その友人は死刑に…。
それと引き替えに生き延びることができた主人公は、人生の終末期を迎えるにあたり謝罪のため友の墓を探して回りますが、家族との断絶やすっかり変わってしまった台湾の風景に直面して…というもの。
この主人公は一応読書会に参加したというはっきりした理由付けがあり、彼が名前をばらした友人も読書会の当事者だったという設定になっていますが、ネットで台湾の戒厳令や白色テロを検索すると、無実の罪で逮捕されたりその逮捕された人もまた自らが助かるために無関係の知人の名前を告げるという事態もあったようでした。
かなり混沌とした状況だったのだろうと思います。
映画の中で収容所の所在地として描かれる緑島は、80年の戒厳令解除を機に観光地化し、いまではレジャーも盛んなようです。
この映画をケイズシネマで観た時期と前後して、ちょうど私は安田峰俊氏の『八九六四』を読んで天安門事件のことを考えており、若い知識人が政治的な理想について語ることと国家との衝突、世代間の断絶…など、この映画で描かれていることが特定の国や地域に限らない普遍的なテーマであることを考えさせられました。
主人公のセリフは折に触れて日本語で語られ、歴史における日本との関りも濃密に感じられる作品であると思います。(H)

『藍色夏恋』2002年 イー・ツーイェン監督
今回の特集の目玉のひとつがこの作品のデジタルリマスター版の上映ですが他の何十年も昔の作品ならいざ知らずたかだか15年ほど前の作品。
そんなにリマスターする必要もないのでは?と疑問におもいながら観賞。
例によってフィルムそのままなルックのリマスター。
フィルムの修復をともなうリマスターではなく要はほぼデジタルデータでないと上映できなくなった現在の映画館で上映するためのデジタル化なんでしょう。
しかし思い入れもあるとは思いますがこんなにいい映画だったとは。
その後スターになったチェン・ボーリンとグイ・ルンメイの魅力はもちろんですがエピソードや脇役の演技にいたるまで細部の工夫がはりめぐらされていて基本的にはふつうの恋愛青春映画が予期せぬ傑作になっていたんだと思います。
ただ今回見返してみて個人的にショックだったのはよくある三角関係物の構図に隠れてもうひとつのテーマがあったことをすっかり忘れていたこと。
チェン・ボーリンとグイ・ルンメイの恋の行方ばかりに夢中になって見ていてそれ以外の要素をシャットアウトしていたのか…
自分の映画の見方がいかに片寄っていたかを思い知らされたという意味でも今回見れてとてもよかったと思いました。(K)
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