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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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『ひろしま』を見る。



昨晩のS東京特派員夫妻との宴席の中でやはり、五藤利弘監督の『お母さんの被爆ピアノ』の話題となり、
原爆投下のシーンはどのように描かれるのかと話し込んでいました。

あくまで現在の物語なので投下直後は回想シーンで描かれるだろうから、そこに製作費は多く投入されないように思うものの、
例えば長崎が舞台の山田洋次監督『母と暮らせば』の原爆投下直後のシーンはとても工夫して撮られていたので、
たとえ製作費が多くなくても、残るシーンは撮られるのではないか、などとまた無責任なことを話しておりました。

S東京特派員は終戦の日を意識して『アルキメデスの大戦』を観て称賛していましたが、
確かに以前は特に東宝でよく戦争大作が夏休みに合わせて封切られてたことが邦画の歴史にあるので、
担当者もきちんと正座する思いで『アルキメデスの大戦』を観ておけば良かったと自省したものの、
お盆休みもなくひたすら猛暑酷暑の職場で熱中症の危険に晒され、
労働の後はホントに意識を失いかけていたので、
映画館に行く気力が失せていたのも事実でしたが、
宴席を終えた後の真夜中、NHK-Eテレでちょうど今夏脚光を浴びてた『ひろしま』が放映されてたのでチャンネルを合わせました。

原爆投下から8年後に制作されながらも、ほぼお蔵入りとなってて、
4,5年前から各地で自主上映会が開かれてた1作。
気になってたものの観れずにいたので、こうして地上波で放映されるのは、
遅い時間であれありがたかったものの、思えばこれがテレビ初放映で、
実現させた放送人がまだNHKにいることにギリギリの良識を感じたりしました。

映画は被爆者に対してかなり過酷に聞こえるナレーションから始まり、
「えっ!」と思うものの、それが授業の教材とわかるという捻ったシーンにかなり驚き、
授業中に白血病で倒れた少女の回想で”あの日”が語られます。

気になってた原爆投下のシーンは戦時下の日常を描きながら、
学校で教師と生徒が「Bが来た」と空を見上げた直後に容赦なく閃光と爆風が雪崩れ込んで、
瞬く間に修羅場となり、以後、監督というかこの映画の撮影を支援した広島の人たちの
執念といっていい地獄絵図の再現には確かに言葉を失いながら観てました。

この中で強烈に映ったのは月丘夢路扮する教師と生徒たちが、
熱さからか川へと浸かりながら、次々と力尽き命を落としていくシーン。
亡くなる前に『君が代』が歌われており、
この国歌の意味を思うと、『君』は決してこの人たちを守ることができなかったことに
かなり悲痛なものを感じた事。

そして誰もがうなだれ意気消沈とする中で一人、
役人なのか軍人なのか「すぐさま仕事に戻れ」と狂ったことを叫んでる男がいて、
逆にリアリティを感じていました。

画像は破滅した地獄の只中で我が子を鬼の形相で探しているのがなんと山田五十鈴サマ。
クロサワ、オズ、ミゾグチといった巨匠に選ばれた大女優というイメージが、
すべてをかなぐり捨てるような演技を見せて圧巻、
それも広島の惨状を思えばとのことだと思いますが、
WIKIを開いたら当時の旦那さんはかの加藤嘉、
その影響下を受けての出演のようですが、
ここまでできるのがやはり大女優なんだろうと。

で、旦那の加藤嘉は家屋の下敷きになった妻を救おうと奮闘しながら、
力及ばず妻は救いなく火に包まれてしまう、というこれは
阪神大震災を再現した『ありがとう』でトヨエツが演じてた役とまるっきり同じなので、
どちらもある意味、日本が遭遇した地獄絵図だから同じシーンができるんだろうと。

原作は『原爆の子』とあるので新藤兼人監督作と同じなのも驚きましたが、
恥ずかしながら新藤版の方は未見でスチール写真でよくみる
乙羽信子さんが子どもたちを前に微笑むシーンが印象的なので、
作家性の違いになるのか、でも新藤兼人監督は広島に原爆が投下された全てをなんとしてでも再現したいと、
折に触れ話してた記憶があるので、なかなか興味深く思いました。

そして『ひろしま』も『原爆の子』も音楽は伊福部昭先生。
後の放射能の悪夢を描いて、さらに恐怖のどん底に落とした金字塔『ゴジラ』に繋ると思うとさらに興味深いことに。

『ひろしま』の関川秀雄監督は佐渡出身。
配給しようとした松竹が劇中のセリフがGHQを逆なですることを恐れ、
忖度をしてカットを要求しながらも頑として受け入れず、
そのため大作なのに公開がままならなかったようですが、
戦後74年でこうして脚光を浴びることになってほくそ笑んでいるのか、遅いよと呆れてるのか、
いづれにしてもキナ臭い道を進んでる故国を憂いてることは確かなように思います。

猛暑酷暑に倒れかけながら労働に従事し生きてるこの世界は
あの映画の中で亡くなった人たちが生きたいと願った世界でもあると肝に銘じることができるのも、
この時期にこういう映画を観賞する意義の一つではないかと。


『ひろしま』は8月21日より高田世界館で公開されます。
http://takadasekaikan.com/schedule
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