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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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第20回東京フィルメックス 映画の未来へ  ~映画祭巡礼記~

S東京特派員夫妻の映画祭巡礼記。
東京国際映画祭に続いてフィルメックスです。
思えば担当者の中国映画不動の1位は今回新作とともにやってきたロウ・イェ監督のデビュー作『ふたりの人魚』なのですが、
レポートを読むとまた中国から才気溢れる映画作家が登場したようです。
(K)が特派員、(S)がその奥さまです。
ありがとうございます!

開会式の様子。審査員の方々が登壇して挨拶。
開会式の様子。審査員の方々が登壇して挨拶。

第20回東京フィルメックスの感想です。
今、映画のあり方は変わって来ていると思います。映画館で上映されず配信でしか見られない映画が作られています。一方、シネコンではアメコミ映画や続編ばかり。映画文化が変化を迎えていることを感じます。この先映画はどうなっていくのか?我々が映画館で見てきたような映画はもうなくなってしまうのではないか…そんな今、フィルメックスを見たのですが、その結果は、「まだまだ映画はやっていけるんじゃないか、どんなに環境が変わっても」と、そんな期待を感じさせてくれる映画祭だったと思います。(K)

『シャドウプレイ』ロウ・イエ監督(中央)
『シャドウプレイ』ロウ・イエ監督(中央)

『シャドウプレイ』
(中国、監督:ロウ・イエ)
実際にあった不動産を巡る汚職事件に着想を得た映画でロウ・イエ史上最大予算の作品だそうです。過去に仲村トオルやチャン・ツィイーが出ていた『パープル・バタフライ』という大作もありましたが今回は大掛かりなアクション・シーンもある作品なので納得。インデペンデントな作家性の強い監督だと思っていましたが娯楽映画に対する興味もかなりあると思えるアクションやサスペンスにあふれた犯罪映画でした。屋上から突き落とされた人物が地表に落ちるまでをワンカットでとらえたり横転するトラックの中での格闘シーンとかすごい場面が続出。
次回作はオダギリジョー主演の第2次大戦が舞台のスパイ映画だそうでさらに大作。『天安門、恋人たち』みたいなのは中国の検閲の元ではやはり作りづらいのかなと思いつつもロウ・イエにとっては人間の性や欲望がテーマだと思うのでメジャーな映画で検閲と戦いながら映画を作り続けていく今の路線に期待していきたいと思います。
『シャドウプレイ』は来年日本公開が決まっています。(K)

またまたチン・ハオ(秦昊)を楽しみに観に行きました。今回は不動産王の役です。しかし今回もまた女性関係で苦労している…。再開発に揺れる中国を舞台に、チン・ハオはじめそれぞれの登場人物が虚飾を追いかけて人生を狂わせていく印象でした。唯一の例外は井柏然演じる警官でしょうか。今回のフィルメックスのメインビジュアルにも使われていたピンクの髪の馬思純は『七月と安生』で優等生の七月を演じた女優さんです。(H)

『春江水暖』グー・シャオガン監督(中央
『春江水暖』グー・シャオガン監督(中央)

『春江水暖』
(中国、監督:グー・シャオガン)
ある地方都市の家族の生活をまるで絵巻物のような長廻しのカットを何度もはさんで描いた映画。なんと上映時間154分。でも最初は5時間もあったというから驚きです。そんな作品を撮った監督はこれが初監督作品でまだ31歳というのもすごい。その映像はタルコフスキーや溝口健二を思い起こさせる気がしました。Q&Aではエドヤード・ヤンやホウ・シャオシェンに影響を受けたとも。なるほどそう言われれば一族の歴史を描いた『悲情城市』や群像劇『クーリンチェ少年殺人事件』の影響も感じられます。さらにすごいと思ったのが映像。ムチャクチャ凝りまくったカメラワークの中完璧に決まった演技を見せる出演者たちがすごいと思ったのですが、それがほとんど素人というのにはさらにびっくりしました。なんとメインの家族は監督の家族や親戚だそうです。すごい演出力。
この映画は続編も構想されていて最終的には10数年にわたる地方都市の歴史を描くものにしたいのだとか。なんともすごい新人が現れたものです。この映画もぜひ日本で公開してほしいですね。(K)

『気球』主演俳優のジンパ氏(真中)と、鑑賞していたアミール・ナデリ監督(左)、フィルメックスの市山尚三ディレクター(右)
『気球』主演俳優のジンパ氏(真中)と、鑑賞していたアミール・ナデリ監督(左)、フィルメックスの市山尚三ディレクター(右)

『気球』
(中国、監督:ペマツェテン)
去年、フィルメックスで上映された『轢き殺された羊』のペマツェテン監督の最新作です。チベットの死生観が描かれているのは前作と共通ですが、ファンタジックだった前作と比べて今回はより現実的な「一人っ子政策」と「産むべきという価値観、宗教観」との間で揺れる家族が描かれています。最後まで産みたくないという妻と、産んでくれと頼む夫、息子、妹たち。最終的にどうするのかは描かれないで終わります。望まない妊娠の果てに産むか産まないか、妊娠や出産に国家が口を出すことが家族にどんな葛藤をもたらすか、現代日本にも通じる問題なのではないでしょうか。終映後、主演のジンパさんのトークでは、お客さんから中国語で質問されたジンパさんが中国語で返答し、それをお客さんが日本語に訳すシーンもありました(本来はチベット語のトークで、通訳の方もチベット語対応)。フィルメックスのサイトでは訳出されていないですが、質問は「映画の中で描かれているようなこと(価値観や宗教観など)をどう思うか」、返答は「みんなそれぞれの考えがあると思う、監督は観客が考える余地を残してくれている」というようなものだったと思います。残念ながらメモを取っておらず、細部はうろ覚えです。(H)

『完全な候補者』
(サウジアラビア、ドイツ、監督:ハイファ・アル=マンスール)
サウジアラビアの男性中心社会に立ち向かう女性医師の奮闘を描く映画です。日本にしても他のアジア圏でも欧米でも、男性優位だったり男の子を望む風潮はあると思いますが、医師という比較的高位の職業についていても意見は聞いてもらえないし患者からは「触るな」と言われるし飛行機に乗るには父親や夫などの男性の「保護者」の渡航許可が必要…など、観てるだけでもストレスが溜まりそうな社会です。ヒロインは街を離れるつもりでいましたが、行きがかり上、次の地方議会選挙に立候補することになり、こうなったら当選してやると意気込みますが…。社会自体は息苦しいながらも、主人公と姉妹の協力関係や、奔放な演奏旅行の傍ら娘の心配はしても邪魔はしない父親の存在など、人の繋がりの素晴らしさも垣間見えます。選挙戦はうまくいかないながらも、ラストは救いのある言葉も。(H)

『ニーナ・ウー』
(台湾、マレーシア、ミャンマー、監督:ミディ・ジー)
『マンダレイへの道』に続き今年も新作が上映。いま注目の監督です。以前ショートショート・フィルム・フェスティバルで短編を見たことはありますが長編を見るのは今回がはじめてです。
主演のウー・カーシーがかつて自分が聞いた台湾芸能界の話を元にしたシナリオを映画化(ミディ・ジー共同)した映画。ウー・カーシーは常にミディ・ジーの映画でヒロインを勤めている俳優です。今回は美貌を封印して「醜女顔」のメイクと演技で売れない女優を演じています。
物語はある売れない女優がまさかの映画主演のオファーを受けるところから始まります。しかしその映画では全裸でのセックスシーンが。覚悟を決めてオーディションに向かいますがそれを境に彼女は徐々に奇妙な世界に入り込んでいきます…
最近の性被害事件を連想させるような描写があり、社会的なテーマを扱った映画でありますがその描きかたは極めて独特。いま画面に写っているのは現実か妄想かと考えても答えのでない、まるでさめない悪夢を見ているような映画でした(主人公の受けた傷はそれほど深いということかもしれません)。テーマだけでなくこの独特な作風ももっと広く知られてよいのではと思いました。(K)

先日美容院でHanako1月号(多分)を読んでいたら、「高崎卓馬の勝手にリメイク!」のコーナーに「松岡茉優でジョーカー」というのが載っていました。普段雑誌はまったく読まないので初めてこのコーナーを知ったのですが、タイトル通り「この俳優でこの映画をリメイクしたらどうか」という構想と、それに対するご本人からの返答が載るという企画ページのようです。それで、松岡茉優でジョーカー」に対する松岡茉優からのお返事が、「(大意)もとの映画がすごすぎるのでできるわけないじゃないですか。でもアジアの、女のジョーカーがあってもいいかな」。実は『ニーナ・ウー』を観てから、しばらくこれは「アジアの、女のジョーカー」じゃないかということを考えていました。女優になりたいがためになんでもするが、まったく目が出ないまま食い物にされていくだけのヒロイン。『血観音』では美しさを前面に出していた呉可熙がなぜかまったく美しくないメイクで、悲惨な運命をたどる女優を熱演しています。観客にも現実と非現実の境目は分からず、ラストから考えるともしかして主演の座を射止めたのも賞を取ったのも全部妄想だったのでは…とゾッとする考えも浮かんでくるほど。妄想の中でだけ理想通りにふるまえる悲しさ、自分に注目してくれと言わんばかりの真っ赤な衣装にはどことなく共通点を感じました。結末の付け方は違うけど、どちらも悲しい話だと思います。(H)
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