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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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淪落の人



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『スーパーティーチャー』に続いて↑こちらで紹介した『淪落(りんらく)の人』を観にシネ・ウインドへ。
今後もうアンソニー・ウォン主演作などスクリーンで観賞する機会など、ないだろうと思ってたところへ
緊急事態宣言を全国へと拡大、新潟・長岡のシネコン全て休業となったこの日、
もうしばしどころか下手したら永遠に映画館ともお別れかと覚悟しながら。

館内は良心作の匂い嗅ぎ取ったのかわりとご年配の方が観られてて、
主演俳優がかつて中華包丁手にして大暴れしていたことを知ってるだろかと、
余計なことを思ってしまいまいましたが、
観たらこれが予想以上に大変丁寧に綴られた好編、
大阪アジアン映画祭で初上映された際の邦題は『みじめな人』だったと思い、
これは事故で下半身不随となったよりも頑固者で頭でっかちの嫌な奴という意味で
アンソニー・ウォン一人を指してると思っていたら、
フィリピンから広東語もわからずに香港に来て差別される職業、家政婦につくヒロインのことも差してると
気づきましたが、最初は面倒くさい頑固者として描かれたアンソニー・ウォンが
次第にカメラマン志望というヒロインに心を開き夢を後押しする姿、
ヒロインも主人であるアンソニー・ウォンを信頼していく様を観ていて、
二人は少しも「みじめな人」になど観えず、
むしろ互いを尊重し歩む姿は「大変立派な人」に思えてきました。

最近の香港からのニュースは反政府デモ一括りになり、
それもとても大事かと思いますが、
また良くないことがおきていますが、
日々懸命に生きていく市井の人々に寄り添い喜怒哀楽を綴ったのが高い評価に繋がったのではと、
なんのケレンもなく、やはりアン・ホイ監督の作品を思い浮かべたので、
オリヴァー・チャン監督の今後に期待したいと思いました。

しかし香港では担当者が香港映画を観始めた80年代から
知識としてフィリピンからの家政婦さんがたくさん出稼ぎに来てることを知っていましたが、
本作がその出稼ぎ家政婦さんに焦点をあてたたぶん初めての作品と知って余計に意外に思いました。

『第8回長岡アジア映画祭』でフィリピン映画『母と娘』という映画を上映しました。
これは香港に出稼ぎに行った母親の仕送りで生きている家族なものの、
母は香港ばかりに行き、成長した娘は反抗期となり滅多に帰ることない母親と対立してしまうものの、
最後に和解しますがフィリピンの側から家政婦さんを描いて見せた佳作で、
『淪落の人』の中で電話でカタログ語で親子喧嘩してる様を見たアンソニー・ウォンが
自分と変われと電話を手にしたら母親が広東語でまくし立てて、
自分も昔は香港で家政婦をやってた!と叫んで驚かせるシーンに笑ったものの、
たぶんこのお母さんも『母と娘』のような問題がありながら、
娘は自分と同じく香港へ出稼ぎしてしまったことへの苛立ちもあるんだろうと
『母と娘』と『淪落の人』を並べて思ったりと。

まだ新人のフィリピン出身のヒロイン、クリセル・コンサンジの清冽な姿も印象深いのですが、
アンソニー・ウォンの仲良くない妹を演じてたイップ・トン(香港で演技派といえばかつてはこの女優さん)は
その昔、『野獣特捜隊』という『ヒート』より先に街頭で銃撃アクションを繰り広げてた傑作で
ボギー&クライドのような強盗カップルをアンソニー・ウォンと組んで熱演してただけに感慨深くもあり、
同僚役の気のイイ兄ちゃんのサム・リーは『メイドインホンコン』からもう20年だと、
サスガにおじさん化が進行してるなぁとこれまた感慨深くなったりと。

あとあと『スーパーティーチャー』の重慶マンションに続いて、
『恋する惑星』で撮影されたスポットである
こちらは世界一長いエスカレーター、ミッドレベルエスカレーターがちらりと登場。
実際に香港旅行した際にここに足を踏み入れたよなぁと懐かしく。

アンソニー・ウォンは以前から容赦ない言動で同業者によく毒づいてましたが、
返還後の香港で雨傘運動を支持したことは、
ガチンコで不味く、すっかり封殺、干されてしまったそうで、
それでも大陸マーケットは眼中にない本作に監督たっての希望で出演でき、
高い評価を得たことは大変うれしく思い、
聞けばあのソン・ガンホも前政権下では干されてたのが、
それが今や『タクシー運転手』に『パラサイト』と大躍進を遂げてるのを見ると、
いづれアンソニー・ウォンがまたメインストリームに戻ってくることを願います。
以前は佐渡の鼓童の大ファンと公言してましたが、今もそうなんでしょうか。

『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』の濃すぎる悪役でハートを射抜かれて以来、
『フルコンタクト』『野獣特捜隊』『欲望の街 古惑仔Ⅱ』『ザ・ミッション』『インファナルアフェア』『インファナルアフェアⅡ』『エグザイル・絆』『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』といった数多の香港ノワールの傑作に熱狂、
そして数多のヘッポコ映画での怪演にあらゆるモラルもタブーも突き破った『八仙飯店の人肉饅頭』と
アンソニー・ウォンが登場するだけでドキドキ鼓動が高鳴ったこちらからすれば、
ふたたびまたスクリーンで大暴れ、もしくは渋く銃を手にして場面をかっさらってほしいと。
何も中華包丁を手にしなくていいので。

画像はパンフレットの表紙ですが、これだけでもうこちらは買いでした。

ところで冒頭に下手したら永遠に映画館ともお別れかと覚悟しながら、
などと書きましたがシネ・ウインドは4月24日(金)までの上映はとりあえず続けるようなので
https://www.cinewind.com/information/4-24/
『淪落の人』は毎日10時より上映するそうです。
かつて主演作のⅢ級映画『エボラシンドローム』で奇跡的にエボラ菌の抗体を持って無敵となり
大暴れしていたアンソニー・ウォンの映画なので、
疫病に対して多少はご利益あるかと不謹慎なことを書きますが、
『淪落の人』観て良かったです。

『淪落の人』公式HP http://rinraku.musashino-k.jp/
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