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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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精神0



鬼気迫る墓参り

映画を観終えて、まず思ったりしました。
このブログで何度か紹介した「仮設の映画館」がオープンしたきっかけの
想田和弘監督の観察映画第9弾『精神0』

引退を決意した精神科医の名医を被写体に前半は患者とのやりとりを
主に患者に向けてカメラをまわし、
この名医が彼らにとって取り換えの利かない精神的な支えになってることを述べ、
その中で名医が伝える「ゼロに身を置く」という言葉がしばらく忘れられない言葉として残りました。

何気ない日常を前向きに生きると解釈しましたが。

この診療所のシーンで登場した一人の老女がてっきり患者さんなのか思ったら、
認知症を患った名医の奥さんだと次第にわかり、そこから老夫婦の日常へと転換。
冒頭の墓参りとは、映画の終盤、この名医が足もとのおぼつかない奥さんに常に気を配りながら、
山の一角を切り開いたような不安定な場所にある墓地へお墓参りをする、
文字に書いたらそれだけですが映像として、
そして暗雲たちこみそうな風の音がこちらにも突き刺すようで実にスリリングで圧倒される思いが。

想田監督は自作の撮影も手掛けていますが、このシーンではカメラを手にした想田監督の激しい心拍の音も伝わるよう、
これまでとこれからの老夫婦の人生を凝縮したように感じ、
しかもカメラは夫婦をずっと追い次第に互いが手を取り握る姿をズームにして得難い感動が確かにありました。

想田監督が提唱する観察映画十戒に「行き当たりばったりでカメラを回し、予定調和を求めない。」
という項目があり、それになぞえば
前作『港町』ではひなびた漁港にカメラを向けているうちに、
得体のしれない老婆と道中を共にし、いつしか異次元に到達してしまったような感覚になりましたが、
本作は引退を決意した名医を被写体にしていくうちに、
支え続けた奥さんの登場と愛情、そして夫婦愛と撮影をしながら、
目の前に起きてることを柔軟に掴んでいく想田監督の『精神』が本作でも発揮されていると思います。

あと想田監督といえば“猫”なんですが、今回の猫は足を引きづってる老猫なので、
奥さんと通ずるものがあるのか意味深に受け取りました。

あとあとすでに観た方で老夫婦の純愛ということで『人生フルーツ』を想起と何度か感想を見かけましたが、
自分はまるで違う印象、確かに両作ともご主人は生涯を掛けて仕事を成し遂げた偉人ではあるけど、
映画の色が全く違うのは監督の個性と視点が違う次元で被写体を見つめてたように思いましたが。

ちょうど二年前のこの日のブログで『港町』がシネ・ウインドで公開された際、
初日に想田監督のトークがあり、終了後の座談会に参加したことを書いていました。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-1897.html

今回の『精神0』も通常なら監督は初日に駆けつけてたかもしれず、
そしたらまた座談会で楽しくお話しをしてたかもしれませんが、このコロナ禍でそれが敵わなかったのが残念。
しかし辛うじて再開したシネ・ウインドで観賞できたのは、やはりまだこちらはパソコンで映画を観ることに抵抗を感じ、
今回きちんとした音響設備の中であのクライマックスを集中し堪能できたのは映画好きとして喜びでありました。

『精神0』は6月5日までシネ・ウインドで、
6月6日からはこちらも再開した高田世界館で公開されてます。

『精神0』公式HP https://www.seishin0.com/ 
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