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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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終戦75年「蟻の兵隊」全国ツア​ー

池谷薫監督より代表作『蟻の兵隊』を終戦75年の今夏に全国ツアーを開くと、
BCCメールが届きましたので転載します。

『11回長岡アジア映画祭』でも上映し衝撃を与えた本作、
また長岡でも上映したいという思いがあったりします。
主人公・奥山和一氏は旧中条町出身です。



【転送大歓迎】

BCCでメールを差し上げる失礼をお許しください。
コロナで世界が一変するなか不気味な「不寛容」の広がりを危惧しています。
いきつく先は戦争・・・それだけは何としても避けなければなりません。

熟慮のすえ、終戦75年の夏、拙作「蟻の兵隊」の全国ツアーを行います。
現在までに公開が決まっているのは下記の映画館及び上映団体です。

8/1〜長野ロキシー、8/8〜ポレポレ東中野(東京)、元町映画館(神戸)
8/8,10 DORAホール(旧宮古シネマリーン)、8/15〜シネマ・ジャック&ベティ(横浜)
8/22〜シネ・ヌーヴォ(大阪)、シネ・ウインド(新潟)、8/23 鳥取コミュニティシネマ、
9/5〜桜坂劇場(沖縄)、8月中 名古屋シネマテーク、京都シネマ、第七藝術劇場(大阪)

可能な限り私も参加してトークをさせていただきます。

「蟻の兵隊」が伝える教訓は「国家はでっかい嘘をつく」――。
コロナ、森友、桜に沖縄・・・。無責任が横行し、この国の在り方が問われるいま、
信念を持って生きた奥村和一さんの姿を、もう一度目に焼き付けてほしいと願っています。
全国ツアーに向けたメッセージを添付させていただきます。お読みいただければ幸いです。

下記は終戦75年記念版の予告篇です。2分のドラマをご覧ください。

https://youtu.be/qWCBQ-AVbbk

秋からはオンラインを活用するなどして大学での上映にも力を入れたいと考えています。
広島の被爆二世である私は、若者たちに「戦争を語り継ぐ」ことを大事な使命と心得ています。
趣旨にご賛同いただける方は、ぜひご連絡ください。

では、上映会場でみなさまにお会いすることを楽しみにしています。

感謝を込めて

映画監督・甲南女子大学教授

池谷 薫(いけや・かおる)

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終戦75年『蟻の兵隊』全国ツアーによせて

『蟻の兵隊』監督
池谷 薫
終戦から75年の節目を迎える。憲法九条が砦となって長らく平和を享受した日本だが、昨年の「表現の不自由展・その後」の騒動が象徴するように、近年すすむ右傾化は看過できないレベルにまで達している。そこにきて今度は公文書の改ざん・破棄問題である。為政者の傍若無人な振る舞いを見ていると、このままではいつか来た道を再びたどり始めるのではないかと思わざるを得ない。重大な岐路に立ついま私が強く憂慮するのは、実際に弾の下をくぐり抜けた元兵士たちがいなくなりつつあるという避けようのない現実である。
拙作『蟻の兵隊』は戦後も戦争を続けた兵士たちの悲劇を描いた映画である。終戦時、中国山西省に駐屯していた北支派遣軍第一軍の将兵約2600名は、軍の命令により残留させられ、国民党系軍閥の部隊として中国共産党軍と3年8カ月にわたって死闘を演じた。戦後の戦死者550名。残留の背景には、戦犯容疑を恐れた澄田𧶛四郎第一軍司令官と軍閥・閻錫山将軍の間に密約があったとされている。しかしポツダム宣言に背くこの暴挙を、戦後日本政府は「兵士たちが志願して勝手に戦争を続けた」とみなし黙殺する。祖国復興を大義として戦った兵士たちは、その国家に棄てられたのである。
私は元残留兵のひとり奥村和一さんに焦点をあてこの映画を完成させた。真相究明にかける彼の執念は、すさまじいとまで呼べるものだった。映画は小泉純一郎元首相の靖国公式参拝で世間が騒然とする2006年夏に公開され、異例のロングランヒットを記録した。
『蟻の兵隊』の最大の特徴は、戦争を被害と加害の両面から描いた点にある。戦後も戦争を続けるという苦痛を味わった奥村さんは、紛れもなく戦争の被害者である。だが、こうして己の戦争と向き合えば向き合うほど、加害者でもある自分から逃れられなくなっていった。終戦間際の昭和20年5月、奥村さんは「初年兵教育」の名のもとに罪のない中国人を銃剣で刺し殺するよう命じられた。軍はこれを「肝試し」と呼んだ。
「国家はでっかい嘘をつく」――それが『蟻の兵隊』が伝え残した教訓である。しかるに、その教訓が今に活かされているかといえば、答えは断じてNOである。コロナを巡るちぐはぐな対応、森友、桜を見る会、そして沖縄……。森友では公文書の改ざんを命じられた地方官僚が自殺に追い込まれるという悲劇が起きた。個人が国家に押しつぶされる負の構図は何ひとつ変わっていない。
さらに危機感を抱くのは世界を覆う不寛容の高まりである。相手を敵か味方に峻別し、自分と異なるものは容赦なく排除する。それが極限にまで達したとき、戦争がうまれる。
信念のひと奥村和一さんは2011年5月、東日本大震災の被災地を気遣いながら亡くなった。だがスクリーンの中に生きている。今年は『蟻の兵隊』を携えて全国をまわるつもりだ。戦争の「手触り」を語り継ぐために。

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