のぼる小寺さん

今回は完全にこじつけです.
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-2688.html
↑こちらに久しぶりにお会いした矢部さんのことを書きましたが、
手塚眞監督作『白痴』を新潟に根付かせるために奮闘、その勢いでにいがた映画塾を立ち上げた方。
それで映画『白痴』の撮影前に手塚眞監督と行く坂口安吾ゆかりの松之山ツアーというのが企画され、担当者も参加した覚えが。
手塚監督の他、古澤敏文プロデューサーも参加していたので、今思えばロケハンも兼ねてたと思うのですが、その宴席でなぜか矢部さん、古澤プロデューサーと古厩智之監督について話題が上ったことを覚えています。
当時の古厩智之監督は『この窓は君のもの』が評判となって自主映画の監督達にとっては、
今で言うと上田慎一郎監督ではなく少し前の今泉力哉監督のような大きな目標となるような存在。
古澤プロデューサーが話し終えた後に矢部さんと顔を見合わせたりしたのですが、
その後の古厩監督は『ロボコン』を大ヒットさせた後も『さよならみどりちゃん』『奈緒子』『ホームレス中学生』と若者を主人公に傑作や話題作を手掛けて大活躍、新作が現在公開中の『のぼる小寺さん』
担当者は決して推しメンではなかったものの本作のヒロイン、工藤遥といえばモーニング娘。の中でもズバ抜けたルックスとハスキーボイスで目を惹く存在。
性格は“狂犬チワワ”と揶揄されるほど負けん気の強さで、いづれリーダーとして引っ張っていく存在だと思ってましたが、ハロプロが力を入れるお芝居でボーイッシュで中性的なキャラが大当たりとなって女性ファンが急増ならまだしも、ハロプロのメンバーからも熱い視線が注がれることになり、本格的な女優を目指してモー娘。を卒業。
その映画初主演作が『のぼる小寺さん』
最初にチラシを見た時は静かなブームのボルダリングにかこつけたアンチョコな映画ではなかろうか、
監督誰かと見たら古厩智之監督とあったので、
これは単なる元アイドル映画の枠に収まらない思いを抱き、ようやくコロナ禍を経て公開されたので足を運びました。
周囲の目など気にせず、教室でも不思議ちゃん扱いのくどぅー(愛称)扮する小寺さんが放課後、体育館でボルダリングの壁を上っていく。
失敗したらマットが敷いてあるといはいえ結構な高さから落下するものの、めげることなく上っていく小寺さんを見つめる同じクラスの級友とはいえない面々が小寺さんに影響を受けていく。
小寺さんを見つめ、目標を見つけていくという青春映画。
”狂犬チワワ”と揶揄された、と書きましたが本作でのくどぅーはハロプロで培った我の強さを封印、セリフも少なくただただボルダリングでてっぺんを目指すというアクションで観る者を釘付けにさせ、そのせいで彼女を見つめた面々が大きな一歩を踏み出すことに説得力を感じさせて、やっぱり古厩監督に任せて正解。
特にボルダリングの壁に凛と視線を送る表情は絶品。
ついでに結構危険なロッククライミングのシーンもあって、あれはやはりハロプロで培った体力と天性の運動神経が功を奏したんだろうと。
思えばモー娘。時代に“見つめられる”ことを生業にしていたくどぅーを思うと感慨深いものが。
ただボルダリングに青春を捧げるのも結構だけど、多少色気があってもいいのではと思ったら、意外とツンデレだった小寺さんというラストシーンにイイ年したこちらもキュンとなってしまいました。
途中、くどぅーが披露するコスプレはあれはBerryz工房へのオマージュか、できたら『ピョコピョコウルトラ』もやって欲しかったなどと余計なことを思いましたが、
ネットでは脚本が吉田玲子先生(『聲の形』)もあって称賛の声も多し、
中には大傑作のお墨付きもありますが、そんなこと言われると構えてしまうので、
こちらは観賞したこの日はメンタルがやられてかなり落ち込んでた日。
それが本作を観てホントに前向きな気にさせてくれたので、それだけで十分イイ映画でした。
たぶんくどぅーの脇を固める学生の面々がいづれこれからの邦画を引っ張っていくんじゃないかと。
そしてまたくどぅーをスクリーンで観れますことを。
『のぼる小寺さん』はTジョイ万代で公開中です。
http://www.koterasan.jp/
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