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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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ベニー・チャン監督 『ジェネックス・コップ』



昨日、香港の映画監督ベニー・チャン(陳木勝)がまだ58歳の若さで上咽頭がんのため亡くなったと訃報が流れ、
日本でも香港映画好きの間で衝撃が走りました。
というのも多くがジャッキー・チェンを筆頭に人気スターを主役に起用したアクション映画なので、
日本での公開率が高く、しかもほぼハズレのない作品を連打し娯楽に徹した潔い、
香港映画らしい映画を手掛けていたので親しみ易さもあったと思います。

1999年作のアクション映画に『ジェネックス・コップ』という痛快作が。
いつまでも香港アクションはジャッキー・チェンではないだろうと、
面白いのはジャッキー自らプロデュースをし、
若手刑事達、“特警新人類”にニコラス・ツェー、スティーヴン・フォン、サム・リーを、
対する強盗団にダニエル・ウー、テレンス・インといわゆる新世代スターを多数投入、
さらに演技派怪優ン・ジャンユー、そして日本からは赤虎という役名で仲村トオルさんを悪役に起用。
新世代スター達は自ら過酷なアクションにも果敢にチャレンジし、
映画は大ヒットとなって新風を巻き起こし着実に彼等は次世代スターとして香港映画界を背負っていくことになります。

確か東京ファンタスティック映画祭で本作を観賞してたハズで、
とても面白かったのに案の定、新潟では公開される気配がなかったので、
『第5回長岡アジア映画祭』で本作の上映を決めてから、
ダメ元で仲村トオルさんに上映とともに映画祭にお話しに来ていただけないか、
(オファーなんて上から目線の言葉はとてもとても)
事務所の住所を探してお手紙を書いて出したら、まさかの快諾のお返事が届き、
本当に仲村トオルさんはやって来てくださり楽しいお話をたくさんしてくださいました。

本作で新世代スターの壁となる悪役として強烈な存在感を放った仲村トオルさんは以後、
香港映画『東京攻略』、韓国映画『ロスト・メモリーズ』『青燕』とアジア映画界で着実に地位を高めていき、
ついに中国映画『パープル・バタフライ』でチャン・ツィイーと共演しカンヌ国際映画祭へと赴きました。

そんな香港映画の未来を決め、仲村トオルさんにとっても重要な映画となった『ジェネックス・コップ』を手掛けたのがベニー・チャン監督。
映画祭での上映は勿論、満席となりましたが、あの時のお客さんに監督が亡くなったことを知らせたいという思いがあり、
このブログでは心もとないとはいえ、こうして追悼記事を書きます。
そして仲村トオルさんも当然、訃報を聞いたと思いますが、悲しんでいるのではと。

とはいえベニー・チャン監督の最高傑作はあえて『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004)を推します。
ジャッキー・チェンとは『WHO AM I?』『プロジェクトBB』、傍役だけど楽しそうにジャッキー流のアクションを魅せてた『新少林寺』、ついでに『ジェネックス・コップ』に自虐的な役でゲスト出演し笑わせてくれましたが、
職人に徹したぶんジャッキーと相性の良かった映画監督ではなかったかと。
それが遺憾なく発揮され21世紀のジャッキー映画代表作と化したといっていいのが『香港国際警察/NEW POLICE STORY』
『ラッシュアワー』でハリウッド進出に大成功しながらも、
その後は『ベストキッド』のリメイクまで成功を待つことになるジャッキーが、
原点回帰の意味もあっての香港映画に復帰した本作。
『ジェネックス・コップ』からニコラス・ツェーとダニエル・ウーを起用し、
彼ら若手陣が捜査の不手際で部下を失い失意のボロボロになったジャッキーに発破をかけ
それはハリウッドでは思うように自分のアクションができないでいるジャッキーに重なってしまい、
併せてニコラスの役は子供のころにジャッキーに励まされた全てのジャッキーファンが投影されたような役で
ラストシーンに多くのジャッキーファンがジーンとしてしまったハズ。
ジャッキーの最高傑作『ポリスストーリー 香港国際警察』を想起させながらも、
別のドラマとして特筆なのは衰え知らずのアクションは勿論のこと、
親しみやすいジャッキーの笑顔は敢えて少なめにし、
そのぶん怒りや悲しみなどの感情を封を切ったように最大限に広げたこと。
50歳にしてさらに新たな境地に導きジャッキーを存分に演出したこともベニー・チャン監督の功績は大きいハズです。
さらに書いてて気づいたのはやはりジャッキーは香港という街が性に合ってること。
願わくばまたジャッキーはベニー・チャンと組んで香港アクションを手掛けてほしかったと。

ベニー・チャンの遺作はドニー・イェン、ニコラス・ツェー共演の『怒火』
ドニーは刑事役で凶悪犯にニコラスが扮し、すでに完成し公開を待つばかりだった際に届いた訃報。
二人はSNSで悲しみの追悼をしていますが
ドニーのテレビ版『精武門』でベニー・チャンは監督として参加のつきあい、
ニコラスは『ジェネックス・コップ』から20年、相変わらずにイケメンながらももう円熟の境地かと思うので、
ぜひとも日本公開を切望します。

nicholas tse 謝霆鋒 馮德倫 李璨琛-You can't stop me MV HQ
https://www.youtube.com/watch?v=ZBGFSljoAgw&feature=youtu.be
↑『ジェネックス・コップ』主題歌というより映画自体のPVのようで、景気よく爆破シーンが続いてスター達が楽しんで大暴れしている、まさに輝いてた頃の眩しい香港映画、今との落差を思うと切ないものが。しかし仲村トオルさんはやはりカッコイイです。

改めて監督ベニー・チャンに合掌。
さらにとはいえ一番好きな作品は『アンディ・ラウの逃避行』なんですが。
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