ETV特集「親のとなりが自分の居場所~小堀先生と親子の日々~」

『人生をしまう時間(とき)』長岡上映会も観に来てくださった、
お世話になってる方より教えていただき、
昨晩のETV特集で再び小堀先生を記録した
ETV特集「親のとなりが自分の居場所~小堀先生と親子の日々~」が放映、見ることができました。
ありがとうございます。
映画では80歳でしたが、あれから二年後の現在、小堀先生は82歳になってもフットワーク軽く、
やはり自ら車を運転しカルテと腰掛を手に訪問診療を継続、
映画を上映したばかりなので、相変わらずのお元気そうな姿が余計に嬉しかったです。
しかし当然、春先からコロナ禍が襲いマスクをしながら診療し難儀な局面、
看護師の手配ができず思うような在宅診療が出来ないなどの影が被さり、
やはりコロナ禍はまず弱者を、直接な感染でないものの容赦なく襲うことを実感しました。
ディレクター兼撮影はやはり映画と同じく下村幸子監督。
とりあえず映画を公開して一区切りでなく小堀先生への取材は続行しているようで、
これはドキュメンタリストとして当然の姿に見てて思いました。
何しろ小堀先生の診療先、行く先々は様々な問題が可視化される現代社会の縮図、
ここへ取材という形で光を当て、視聴者に番組を届けるのはNHKの最もまっとうな使命だろうと。
今回のテーマは50代、60代で職も持たず、結婚もせずに家でこもりながら老親の介護をする男性。
番組では3組の取材記録を織り交ぜていきましたが、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201120/k10012720481000.html
↑こちらの下村監督の取材記録を読むと、
近年、わりと問題となっている中高年のいわゆる「ひきこもり」について、
監督は「ひきこもり」というネガティブな言葉ではなくフラットな状態で取材をし、感想として特異ではなく
“「いじめ、DV、病気など、誰にでも起こりうるさまざまな「困りごと」を抱えて、人はひきこもるようになる。”
という感想を抱くようになり、
取材した中で特に印象に残ったとして挙げたのが、
若き日に社会と折り合いがつかず、心を病み職ももたない男性が
末期がんを宣告された老父の在宅診療を通して、
それまで社会との接点を避けていたのが、
小堀先生などの在宅診療チームとの支えあって、
老父の介助をしながら表情が明るくなっていく男性の姿を記録し、
そこに「希望」を感じたと綴っています。
確かに事前に感じた中高年の「ひきもり」と親の介護という暗く厳しい描写に構えていましたが、
この男性が次第に心を開いていく姿に間違いなく小堀先生の後押しがあり、
そこが救いとなっていました。
何しろこの50代の男性、父親が退院しても家にいないので、
なぜかと思ったら不安のために精神病院に入院していたほどだったのが、
在宅死を希望した父親の願いに報いるために介助に、
自分の生きがいを見つけたと言ってもいいほどで、
正直、この男性に担当者の姿を重ねていた側面もあったので、
ちょっと予想と違う前向きな方向へと進んだために、こちらも見ながら余計に印象深かったです。
しかし心の病を抱えた中高年の息子を自分の責任で精神病院から退院させ、
家族の支えが必要だからと父親の在宅介助に専任させる小堀先生の見識ってすごすぎやしないかと。
ただし美談ばかりでなくとても苦い結末もあることが
「われわれの仕事は、ほとんどが負け戦」という口癖が小森先生の本音なんだろうかと。
またも余韻とともに深く考えさせられる作品となっていました。
ここまでくると『人生をしまう時間(とき)』の続編を下村監督は視野に入れてると思い、
それはぜひ実現してほしいです。
たぶん小森先生の診療を最後まで取材・記録していくことを腹に括ってるハズだと。
そして苦い結末となりテレビでは描き切れないと想像する、あの母子について伝えてほしい気が、、、
どういうわけかこうして書いてて強烈に思い出し、壮絶な葛藤とせめぎあいだっただろうと。
幸い再放送があるので『人生をしまう時間(とき)』を見損ねた方もぜひ見ていただきたいです。
●ETV特集「親のとなりが自分の居場所~小堀先生と親子の日々~」 再放送
[NHKEテレ] 2020年11月26日(木) 午前0:00~ (60分) (水曜深夜)
在宅での終末医療を担う小堀鷗一郎医師。訪問先の高齢患者には、仕事を持たず家にこもり続ける中高年の子供がいる場合が多い。そんな一人、若い頃仕事で挫折、その後精神的に不安定となった50代の男性。小堀医師に導かれ末期ガンの父の看護を始めると、少しずつ変化が。増えていく会話、豊かになっていく表情。小堀医師と患者親子の日々を二年以上にわたり取材。看取り(みとり)を担うことで子供が居場所を見つけていく姿を描く
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/
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