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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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『悪い男』



「やくざ風情が何が愛だよ」

↑ただただこのセリフに痺れてしまったのがキム・ギドクの最高傑作として挙げたい『悪い男』

一目ぼれした女の唇を突然奪い、その後に弱みを握って売春宿に売り飛ばすヤクザが主人公。

「男は女を娼婦まで落とし
 男は女が客と寝るのを覗き
 男は女をどこまでも愛した」
↑DVDの宣伝コピーがそのまま本作のストーリー、
しかもこれが純愛映画という離れ業となって、世界中を驚かせてしまった傑作。

ワンシーンワンシーンが本作の主人公の身体を切り裂く刃のように研ぎ澄まされて、
観ている間、ずっとヒリヒリさせてくれた1作。

この横に『人間の時間』を並べると本当に同じ監督作とは思えず、
セリフを最小限にし堕ちていく女と男を演出力でぐいぐいと魅せていき、
ラストも尋常でなく突拍子もないハッピーエンドなのに、
あれ以外に考えられないような終着をしとなって痺れさせてくれました。

ほとんどの作品に通じる女性嫌悪と女性崇拝がない交ぜになってる
キム・ギドク自身のコンプレックスがピークとはいえうまくバランスが取れて傑作になったかと。

その後は名声を得るごとに女性嫌悪が誇大化となり、
現実と折り合いがつかず狂気も加速され本性がかなり歪んでしまい
一連の事件となって最後は自滅してしまったような。

思えばエリートが幅を利かせる韓国映画界のなかで大学に行かず、
10代から働き始め兵役に就いた後にパリで絵の勉強を始める中で観た
『ポンヌフの恋人』と『羊たちの沈黙』に影響を受けて独学で映画を学び、
なんとか這い上がろうと自作をVHSにダビングして世界中の映画祭関係者に送って“発見”され、
やがて数多くの映画祭に自作を出品、
その異様な作風が注目を集めて世界を席巻するように。

自らVHSに作品をダビングしてるような無名時代が嘘のように、
まったく悍ましい権威者となってしまたようで、
併せるように作品が最近の傑作と評判の『嘆きのピエタ』含め期待ハズレなのが正直なところ。

『魚と寝る女』『受取人不明』『悪い男』『コーストガード』『春夏秋冬 そして春』『サマリア』と
日本で巨匠扱いされる前の一連の傑作がずらりと並んだ頃、
観るたびに興奮していたのは映画好きとして幸福だったと噛みしたりしてます。

などなど毎回、キム・ギドクのことを書いたりしてるのは、
作品に対しての思い入れとともに実際にご本人を目にしたこともあるからで、
日本に紹介された頃に東京フィルメックスの会場ロビーにいたら、
同行したS東京特派員が、「あれがキム・ギドク監督ですよ」とまだ若い異端の監督を教えてくれたこと、
そしてにいがた国際映画祭で特集上映されご本人のトークがあり、
「日本と韓国は映画を通して仲良くなれる」という旨で確か滔々と語っていたのをよく覚えてるから。

現在、SNSでキム・ギドクがよりによってコロナに感染して亡くなったことへ、
作品を純粋に評価し哀悼の思いから、
とても擁護できない性虐待があからさまになるに連れ
猛烈なバッシングに晒されており、
一連の作品にはどうしようもない自身の性癖も包み隠さず描き切ったハズ、

これから映画館も映画祭もキム・ギドクの特集は組まないかもしれませんが、
だからといって確かに驚かされ時に感動した作品群を封印していいものか、
こちらは多くの作品でヒリヒリしたことを思い出しながら、
ずっと自問自答を繰り返すと思います。

結局キム・ギドクに送る言葉はカッコよすぎるかもしれませんが、これではないかと。

「やくざ風情が何が愛だよ」
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