FC2ブログ

長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

『息子』



先日『北の国から』の田中邦衛さんの訃報が届きました。
ご冥福をお祈りいたします。

『北の国から』で誰もが認める国民的俳優となりましたが、
担当者はリアルタイムで観た山田洋次監督の『息子』『学校』といづれも助演とはいえ印象深かったです。

どちらも社会の底辺を這いつくばって生きていく姿、
『息子』は東北から出てきて鉄工所に勤め始めた永瀬正敏をトラックに乗せて、
納品先を回るものの、いつも不平不満をとっちらかしてる運転手。
しかしケガをして見舞いに来た永瀬正敏が納品先の聴覚障害のある女性・和久井映見に
ガチ惚れしてると知って不用意な発言をしてしまい、永瀬が激怒という展開に戸惑ってしまい、

と書いてて思い出したのが本作は市民映画館をつくる会で上映会を長岡市立劇場で開いた際、
永瀬が激怒した後の第三幕、父親・三国連太郎の前に、
すっかり出来上がった永瀬・和久井のカップルが登場した途端、
二人を祝福する思いで客席から歓声が沸いたこと。

田中邦衛さんの余計な一言で、この恋はダメになったと匂わせた後だけに、
二人が結ばれてたことは祝福すべきこととはいえ、
しかし聴覚障害のある女性に永瀬はどのような、いわゆる“愛の告白”ってやつをしたのか、
ばっさり省略をしたことは当時は何でも見せればいいものではない、
流石はヨージ・ヤマダ(好きすぎて、こう呼んでます)などと思ったものでしたが、
でも今振り返れば視覚障害のある女性に懸命に想いを伝える永瀬の姿を、
丁寧に描いてれば余計に感動も膨らむのでは、などと思い返したりしますが。

まぁ、ヨージは寅さんの一作目も職工の博が身分違いのOLというか当時はBGのさくらさんに
想いを直接伝えるシーンも省略していたので、
正面から描くのは照れもあってやらないのだろうかと。

しかし『息子』の永瀬の職場は当時はバブルで3Kとして嫌われていたものの、
今見返すと仕事があるだけで十分ではなかろうかと格差がずっと拡がった今から観れば、
まだ希望があった時代の映画だったように思います。

もうひとつ『学校』も市民映画館をつくる会で上映したと思ってましたが、
調べたら記憶違いのようなものの、
確かにあるきおくとしてNCホールで試写会があったのか、
当時の市民映画館をつくる会のメンバーで観賞したような記憶があり、
よく覚えてるのが女子高生が観賞後にロビーで人目も憚らず大号泣をしていたこと。
あれはたぶん映画の田中邦衛さん扮するイノさんの境遇を思っての号泣だと思いますが、
本作でなぜか記憶に残ってるのが「週刊文春」の星取表で中野翠氏が、
冒頭のお腹を空かした裕木奈江が屋台のラーメンのお客に残した汁をせびるシーンを観て、
あきれ果てて試写室を出て行ったので評価できないと記してたこと、
キネマ旬報では北川れい子氏が無学のイノさんが夜間学校で読み書きを学び、
先生の竹下景子にラブレターを書いたことはイノさんの矜持ではありえない旨と書き批判していたことなど、
批評家からはあまり褒められてなかった作品とはいえ、
目の前で女子高生が本作を観て号泣し、改めて批評家と観賞者の温度差を思った作品でありました。

あとヨージ作として渥美清さんの遺作となった第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』で
田中邦衛さんは本土と舞台となった奄美の加計呂麻島を結ぶフェリーの船長役で登場。
しかしこれが全く物語に絡まず、当時はもちろん売れっ子だった田中邦衛さんを随分と贅沢に起用してるなぁ、
と思ってましたが、これは満男くん役でもちろん吉岡秀隆が登場しているので
ただ二人を映して『北の国から』でなく『南の島から』などと冗談半分でヨージは起用したのかと最近ようやく気付き、
そのへん、寅さんファンではどういう認識なのかと気になっています。

「試写を観たらみなさん笑っていたので自分はコメディに出てたと気づいた」

三谷幸喜監督が『みんなのいえ』の番宣で田中邦衛さんは↑こんなことを話し、
ずっとシリアスなドラマに出てたと思ってたことを苦々しく語ってたのは正直映画よりも笑ってしまいましたが、
田中邦衛さんらしいエピソードのように思いました。

思えば『仁義なき戦い』では卑怯者の槙原役で登場し菅原文太兄ィを激怒させていたのが
『北の国から』となって「誠意とは」とまた怒らせてしまったのは輪廻転生なのか、
地元の大企業のCMに登場し、三条新聞で工場見学を奥さんとしていたのが
写真入りで紹介されていたことも深く印象に残ってた身近にいた気がした俳優さんでした。

改めてご冥福を。

画像は『息子』から。いかにもヨージ・ヤマダらしいです。
スポンサーサイト



| 未分類 | 23:31 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

TRACKBACK URL

http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/tb.php/2962-02f98f05

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT