池谷薫監督との歓談

8月15日『蟻の兵隊』上映後、本来ならば1時間40分の映画を2時間かけて
池谷薫監督自身が徹底解説する「ドキュメンタリー塾」が開かれる予定がコロナ感染拡大の中、万が一のためにと中止。
そのため時間ができたからとシネ・ウインドの井上支配人が誘ってくれたのは、
信濃川河川敷のやすらぎ堤で開かれていたアウトドアラウンジ。
この日は天気予報は雨なのに好天、信濃川から吹く風が心地よくタープテントの下で、
ビールとつまみを手にし池谷監督、井上支配人と贅沢な歓談の時となりました。
画像を見るとヨーロッパのリゾート地のようにも見えたりしますが。(見えないか)
こちらは池谷監督にまず質問したのがどのような経緯で映像の世界に入ったのか?
すると意外にもATGの映画が好きだったそうで、
その流れでATGを牽引したした佐々木史郎プロデューサーの映像会社に入社。
そこでADとして主にテレビで仕事をしたりしたものの、
一時期、中国へ放浪の旅へ、
高山病となりチベット人に助けられたことが人生の契機になったよう。
帰国後、第一回の東京国際映画祭の裏方をしたりしながら
ひょんなことから今村昌平監督と面識を得て現場で仕事をしたいと志望、
今村監督は毒を吐きながらも了承し『女衒』のフォースの助監督に。
ちなみにサードの助監督はかの三池崇史監督が。
しかし『女衒』が資金難からクランクインに到達できず、
今村組での仕事は流れてしまったそう。
『女衒』はその後、紆余曲折あって撮影されて完成、
もしここで池谷監督が当初の予定どおり今村組の現場で仕事をしていたら、
三池監督と競うような、また別の映画人生があったかもと。
結局、映像会社からTBSの報道部へ出向となり、
そこが意外と性に合ったようでドキュメンタリーの世界へ。
以後、仲間達と独立しプロダクション“テムジン”を設立、
ちょうど外部からの才能を欲していたNHKへ“中国”をテーマにした企画書を送り、
やがてNHKも認めて番組制作を発注、
それがNHK特集の目玉番組になるような中国を舞台にした骨太のドキュメンタリー番組を作り続けて、
大きな注目を浴びることとなったようです。
その流れで劇映画で文革をテーマに『延安の娘』、
第二次世界大戦をテーマに『蟻の兵隊』と一貫して中国に照準を絞った作品を発表。
その中国に刮目してる監督だからどうしても聞きたかったけど、聞きにくかったのが
「もし日本が今の香港のようになってしまったら監督はどうしますか?」
大変、的外れなことは重々承知しながらも、少なくとも雨傘運動前から幾分、検閲が厳しくなったとはいえ、
まさかこの5,6年で完膚なまでに民主主義が潰されてしまう事態になるとは思ってもいなかったので、
そんなことは日本であるわけないと思いながらもどこか対岸の火事には見えず、
中国通である池谷監督に聞きにくいと思いながらもやはり尋ねてしまいましたが、
「映画でなくてもなんらかのメッセージを放つ」と行動することを話してくださいました。
池谷監督と井上支配人は全国のミニシアターを巡っての意見交換。
いろいろあって自作の上映権を持つことを決意し、
自ら配給も行うため全国の劇場と上映の交渉、そして舞台挨拶と各地を回った経緯から見た、
全国のミニシアター事情を監督が話せば、
井上支配人は今の池谷監督の拠点となってる神戸の元町映画館の活動を注視。
この劇場で池谷監督はドキュメンタリー塾を配信、
さらに元町プロダクションという映画塾を開講し、
ここで映画の製作から上映、配給までを手掛けるシステムを構築してることを高く評価していました。
何しろ結局、5時間くらいの歓談となり、
『ルンダ』のロケハンで行ったチベットでの捧腹絶倒のエピソード、
『延安の娘』をベルリン映画祭初のハイビジョンで上映した経緯などの中で
やはり『蟻の兵隊』の主人公、奥村和一さんの知られざるエピソード、
聞いてると本当に波乱万丈というか一時期、謎の時期もあったそうで(書けない)
『蟻の兵隊』の取材で時にケンカもしたようですが、
それでも奥村さんを語る時の池谷監督は笑顔となって、
なんというか互いに出会ったのはやはり運命、なんだろう、
こういうのを戦友と言うのだろうかと。
ガンで胃を切除した奥村さんは食べれないので本当にお酒ばかり飲んでたそうで、
監督はやたらと新潟出身だからと言ってましたが、
話を聞いてると新潟でもそんな酒好きは滅多にいないような気がし、
奥村さんが愛飲してた焼酎の牛乳割りって、てっきりオリジナルかと思ったら、
東京の飲み屋さんではよくあるそうなんで、
いづれ自分も作って飲んでみようと思いました。
別れ際に池谷監督は「君んところはいくらでも協力するから」と言ってくれたことが本当に嬉しかったです。
お会いできて本当に良かったです。
ありがとうございました。
池谷監督は本日、8月16日に中条町へ行き奥村さんのお墓参りをしたハズです。
池谷です。ドキュメンタリー塾をアーカイブで!
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