アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ

私はヘラートの町のはずれで、二万人もの男女や子どもが飢えで死んでいくのを目のあたりにした。
彼らはもはや歩く気力もなく、皆が地面に倒れて、ただ死を待つだけだった。
この大量死の原因は、アフガニスタンの最近の旱魃である。
同じ日に、国連の難民高等弁務官である日本人女性もこの二万人のもとを訪れ、世界は彼らのために手を尽くすと約束した。
三ヵ月後、イランのラジオで、この国連難民高等弁務官の女性が、アフガニスタン中で餓死に直面している人々の数は100万人だと言うのを私は聞いた。
ついに私は、仏像は、誰が破壊したのでもないという結論に達した。
仏像は、恥辱の為に崩れ落ちたのだ。
アフガニスタンの虐げられた人びとに対し世界がここまで無関心であることを恥じ、自らの偉大さなど何の足しにもならないと知って砕けたのだ。
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世界が大きく変貌した9,11同時多発テロから今日でもう20年で朝からこの件をテレビは伝えていましたが、
『第7回長岡アジア映画祭』で上映したのがイランの巨匠モフセン・マフマルバフの『カンダハール』
2001年の作品で完成後に9,11が起き、
世界最強のアメリカ軍が最弱国家のアフガニスタンを武力侵攻、
それとともにアフガニスタンの姿を伝える「今、最も重要な映画」として世界各地で上映された作品です。
見捨てられた国アフガニスタンで敢えて撮影を敢行し、
世界の無知と無恥を告発する映画が9,11で注目されることをまるで監督は予言してたかのように。
ただリアリズムよりも地雷などで脚を失った群衆がヘリコプターから落ちる義足を求めて殺到するシーンなど、
シュールというかかなり幻想的にも観えた作品でした。
冒頭の文章はそのマフマルバフ監督が執筆したレポート「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」からの抜き書き。
『カンダハール』の日本公開後に日本でも出版されて話題となっていました。
国連難民高等弁務官の女性とは緒方貞子氏のハズで、
誰も見向きもしないアフガニスタンを救おうと奮闘してたことを恥ずかしながらここで知りました。
9,11はタリバンは関与していないようですが、
テレビで見て世界はタリバンがバーミヤンの巨大仏像を破壊したことは怒り嘆くのに、
多くのアフガニスタン国民が餓死してることには悲しみどころかまるで関心を持たない。
そういう見方は今も続いてないかと9月11日に自戒を込めて。
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