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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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過酷事故シナリオと避難計画

原子力防災を考える長岡市民の会・金子貞男さんによる三回目のコラムです。
画像は地震で漏れた使用済み核燃料プール水の拭き取り作業。

第一回 ダイアナが示す被ばく予測
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-336.html

第二回 柏崎刈羽原発のベントで放出される放射能量
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-342.html

6号機R/Bオペフロ20070725

過酷事故シナリオと避難計画

原子力防災を考える上で大切ななことは、最大のリスクをどう想定するかということです。津波のリスクを過小評価したことが福島原発事故の最大の原因だったように、事業者にとって安全より経営が優先されることは避けられないでしょう。それだけに行政のリスクに対する認識は、市民の安全を守る公益性をはかる試金石となると言っていいでしょう。大間原発の建設中止を提訴した函館市は立派でした。

柏崎刈羽原発が建設された当時、「最大のリスク」を国はどう考えていたのでしょうか。それはひとことで言えば「仮想事故」というものでした。実際には起こり得ないが、あえて考えてみるというものです。具体的には冷却材喪失事故を想定して、放射能の放出量と被ばく線量を計算しています。

4号機の設置変更許可申請書を見ると、放射性ヨウ素は8兆7千億ベクレル、希ガスは2万3千兆ベクレル放出され、原発敷地境界における成人の甲状腺被ばく線量は、約 3.2ミリシーベルトでした。ガンマ線による全身被ばく線量は約 0.7ミリシーベルトです。周辺地域の平均被ばく線量は、長岡市小国0.36ミリシーベルト、十日町市0.18ミリシーベルト、南魚沼市0.15ミリシーベルト、湯沢町0.12ミリシーベルトとなっています。この「最大リスク」のもとに防災計画が立てられていたのです。

仮想でしかも起こったとしても1ミリシーベルト以下の被ばく線量なので、地元以外のほとんどの自治体は関心がなく、実際、中越沖地震直後に私たちが長岡市に原子力防災の要請をすると、「放射能は距離の2剰に比例して弱くなるので、モニタリングポストを設置する考えはない」と笠原危機管理官は語り、全く関心がないありさまでした。

さすがに現在では県内の自治体すべてが「過酷事故は起こりうる」ことを前提に地域防災計画を立案しています。新潟県はどのような事故シナリオをお考えているのでしょうか。ひとつは、原子炉の給水に失敗すると約1時間後に炉心損傷が始まり、8時間後に炉心が破損して溶融燃料が格納容器に落下し、18時間後に格納容器は限界圧力に達してベントするというシナリオです。しかしこのケースは福島原発事故を検証していないのではないかという批判があり、「一般公衆への影響という観点から最も厳しい事故想定から、放射性物質の放出量と放出開始時間に基づき算出することが求められる」と、原子力安全対策課は技術委員会に新たな提案をしました。

このケースでは、溶融燃料の過温によって格納容器から放射能が漏れ出し、6時間後にベントすることになります。ベント時間の違いは、溶融燃料を冷やすために消防車が使えるか否かの違いによるものですが、放射性物質がフィルタを通すことなく格納容器から出ることになるので、環境への汚染が長期化することになり、被ばく線量も格段に大きくなるでしょう。さらに東電が想定するケースでは、配管の破断を想定しているので、給水喪失後24分で炉心損傷が始まります。原子力災害特別措置法15条が発令される全面緊急事態です。5キロ圏の市民はこの時すでに数時間で避難しなければなりません。被ばくぜず避難することなど不可能でしょう。

◎防災において想定する事故シナリオについて
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/256/622/140211_4-2,0.pd

金子貞男(原子力防災を考える長岡市民の会
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