『茶飲友達』 外山文治監督、五頭岳夫さんの舞台挨拶

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↑こちらに紹介した『茶飲友達』シネ・ウインドでの公開初日の外山文治監督と五頭岳夫さんの舞台挨拶へ足を運びました。
十数年前に実際に起きて摘発された高齢者売春クラブ事件を知り「自分の価値観が揺らぐ出来事」として、
気に留めていた外山監督が満を持して映画化したようです。
タブー視されてる「老人の性」に強烈に切り込んだ作品で孤独と欲望が静かに唸り声をあげてるような中、
印象的な言葉として「ファミリー」が。
孤独な老人相手に売春するご婦人方と
なんだかサークルのノリで売春斡旋してる若者たちを束ねてるヒロイン岡本玲(好演!というかもはや主演女優賞モノ)が、
よく口にする言葉で『ワイルドスピード』でも同じかもしれませんが、
それ以上に近いと観てて思ったのは『ブギーナイツ』のポルノ映画で飯を食うはぐれ者たちの姿。
こちらの方は売春組織でセーフティネットからこぼれた者達が助け合って疑似家族を築いてましたが、
このヒロインが実際の「家族」に猛烈な拒否反応を示した反動から、
「ファミリー」として疑似家族を切望しているのはやり切れなくなるものの、
確かに今を描いてる作品だと大いに頷けて考えさせられるものがりました。
五頭さんは孝行息子によって施設入りしたものの、
一度も面会に来たことがないとヒシヒシと嘆く老人を好演。
上映後のトークでは笠智衆を意識したことを発言し、
監督を驚かせたりしてましたが、
二人のやり取りを見てて俳優は現場に入る前にすでに演技を固めて、
リハーサルでの監督とのセッションでプロ同士の真剣勝負から撮影が進まれていくんだろうと。
それにしても五頭さんのチャームポイントにやや高い声があると思ってますが、
あの耳障りにいい声が気鋭の監督たちに愛されて引く手あまたの理由の一つなんだろうと思いました。
劇中、他に印象的なシーンとして夜の橋を酒瓶を手に岡本玲が幸福の絶頂を謳歌するように歩きながらも、
幸福すぎることを自覚したせいか、迫りくる不幸を予感し時折おびえて後ろを振り返る姿。
映画はやはり「ファミリー」が幸福のまま終わることはなく、坂道を転げ落ちてしまうのを観てて余計に、
あの不幸を予感し怯える顔の表情が残っています。
外山文治監督にも話しましたが、実は十年以上前に伊参スタジオ映画祭で外山監督にお会いした記憶が。
しかし記憶にある外山監督と本日目の前の外山監督はまるで別人で記憶と一致しないので、
ずっと違和感を感じておりました。
伊参以来、外山監督の名前を目にするたびに活躍してることを喜んでましたが、
今回こんな傑作とともに再会できたことを喜んだりしてました。
が、再会というより、やはり初対面の気がするのは妙なんですが。
『茶飲友達』は4月14日までシネ・ウインドで公開されてます。
観終えてもずっと心に引っかかるような作品です。
公式HP http://teafriend.jp/
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