宝田明さんに捧ぐ

11月11日 『日光物語』
『日光物語』上映後、五藤利弘監督と髙村康一郎プロデューサーが登壇し、
出演者で惜しくもこれが遺作となった宝田明さんを中心にお話しくださいました。
髙村プロデューサーを通して宝田さんを紹介された五藤監督は、
「コロナ禍なのにコメディ映画に出演オファーをするのは失礼ではないか」と思ったら、
宝田さんは「世の中が塞ぎこんでる時こそコメディ映画が必要だ」と出演を快諾。
撮影時は大変調子が悪いようでリハーサルの時は声も小さかったのが、
いざ、本番となると張り詰めた大きな声となって周囲は驚き、さすがだと思ったこと。
怒鳴り声をあげるシーンは本来なら体調を考慮し座って撮影する場面が、
ここは立ち上がった方がいいと宝田さんは判断し、
後ろに付き人の方が支えて渾身の演技を魅せたことなどをお話しくださいました。
いづれも映画黄金期を体験した名優の矜持として感じるものがありました。
しかし後半になると撮影に慣れたのか一堂が集まる場面で、
アドリブを連打し周囲が笑いをこらえきれない場面のノリノリの様子は微笑ましかったです。
トークの中で何度も触れてましたが宝田さんが書いた書「不戦不争」
現在、五藤監督は『おかあさんの被爆ピアノ』に続き
“戦争”をテーマにした次回作のために取材に回ってますが、
おそらく戦争の悲劇を体験した宝田さんの「不戦不争」の遺志も組み込んで作ると思います。
生前、この次回作の話を五藤監督は宝田さんに話し、
すぐに出演を快諾したそうですが、それが叶わなくなったのは本当に残念でした。
五藤監督、髙村プロデューサー、貴重なお話をありがとうございました。
ちなみに担当者は香港映画を好んでいるので、
香港映画史を紐解くとブルース・リー登場前の香港で
かの地の人気女優 尤敏(ユー・ミン)と共演した『香港の夜』シリーズがよく出てきて気になっています。
たぶん宝田さんのダンディな姿は香港の女性もメロメロにしたのではないかと。
ついでに『ゴジラ』第一作で本多猪四郎監督とともに日本特撮映画の礎を築いた
宝田明さん渾身の演技を披露する遺作『日光物語』を観ないで、
今後担当者の前で特撮好きなどと名乗らないようお願いしたいと捨て台詞を。
(こんなことを書くのでいつも後ろ指をさされてしまいますが、あえてこれは念を押しときます)
『日光物語』公式HP https://www.nikkoeiga.com/
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