野のなななのか

担当者はかつて大林信者でしたが、
一映画好きとして大林映画に接しようと決めました。
「この空の花」の狂躁的なエネルギーの部分には素直に脱帽してました。
よって新作「野のなななのか」は真っ新な状態で足を運びましたが、
事前に聞いてた上映時間約3時間に「この空の花」以上に
アバンギャルドで祝祭的な映画ではないかと想像していたところ
北海道が舞台ということで目の前にある樺太での戦争秘話をベースに「戦争と死」を真正面に捉えて、
かなり観る人をより選ぶ難解、というより歯ごたえのある映画、
そして大林監督の通底にある文学志向がかなり露呈した作品に仕上がってました。
自分にとって信者だった頃に謎解きをドキドキしながら観ていた「はるか、ノスタルジィ」を想起させてくれました。
などとやはり大林映画は脳裡にいつもあることを再確認させてくれましたが、、、
常盤貴子、安達祐実 、寺島咲さん、柴山智加 と女優陣は皆、好演しており、
中でも大林映画初出演の安達祐実のあやうさは特筆ものでした。
彼女が戦争の悲劇の象徴として“喪失”を演じたせいなのか上記の女優さんたちに
大林監督はなにげなく汚していく手立ても観てて面白いと思いました。
そして死者であるのに最も饒舌な主人公が亡くなったのが3月11日14時46分。
否応なしに東日本大震災以後への生き方を問うのは
「この空の花」のまぎれもない姉妹版なのだろうと。
今回は役柄として等身大の原発職員が登場し、その葛藤を表す台詞が出てきましたが、
「この空の花」「So long!」に続いて『復興』のために南相馬へ赴く者が出てくること
これに関してはブレないようです。
シークエンスごとにパスカルズが登場して印象的な音楽を奏でてるのも素晴らしく、
次第に彼等は葬列ではないかと気づいた時に、
自分の中で本作が腑に落ちるものを感じました。
ある意味、自主映画という枠組みに捕らわれることなく、
「この空の花」以上に果敢に挑戦していく大林監督に一映画好きとして今後さらに期待をしていきたいです。
しかし新潟県内ではT・ジョイ長岡独占公開なようで意外に思ったりしました。
野のなななのか 公式HP http://www.nononanananoka.com/
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