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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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原子炉格納容器の過温破損とはなにか

原子力防災を考える長岡市民の会・金子貞男さんによる五回目のコラムです。
当初は五回まででしたが、折に触れ金子さんより今後も寄稿いただく予定です。
写真は小千谷市の片貝断層。断層は原発の真下まで伸びている。

第一回 ダイアナが示す被ばく予測
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-336.html

第二回 柏崎刈羽原発のベントで放出される放射能量
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-342.html

第三回 過酷事故シナリオと避難計画
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-351.html

第四回 被ばくを避ける権利
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-361.html

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原子炉格納容器の過温破損とはなにか

 新潟県は「フィルタベント設備の検討のための事故想定」を公表しました。炉心の冷却に失敗して放射能を環境に放出するフィルタベントまで4通りの時間を挙げています。
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356787520424.html

 注目すべきは、「比較のための参考」という但し書きあがるものの、「注水できず格納容器が破損しフィルタベント設備を通さずに放出されるケース」についても放射性物質の拡散シミュレーションを実施するとしたことです。何故ならこのケースこそが福島原発事故に即したものだからです。
 東京電力はMAAP(マープ)と言う過酷事故を解析するコードを使って福島原発1号機が水素爆発に至るまでの原子炉水位、炉心の最高温度の推移を公表していますが、これを見ると、地震が発生し原子炉のスクラム(停止)から4時間半で原子炉の水位は燃料集合体の最低部まで下がりました。「49時間の記録」で繰り返し言われていた「ダウンスケール」、つまり原子炉の空焚き状態です。これに伴い炉心の最高温度は約5時間で2800℃まで上昇しています。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110515k.pdf
 
ウラン燃料を被覆するジルカロイは1100℃を超えると酸化して炉水の酸素が奪われることによって水素が発生し始め、1800℃で被覆管が溶け出します。この原理は、原子炉が停止しても核分裂によって発生する死の灰(核分裂生成物)から発生する放射線エネルギーが熱に変換される、いわゆる「崩壊熱」に由来します。崩壊熱は時間とともに下がりますが、原子炉停止後1時間では熱出力の約1パーセントの発熱量となります。柏崎刈羽7号機に例えると4万キロワットの熱で燃料棒が過温されるということです。
 
東電の過酷事故シナリオでは全電源喪失から24分で炉心が損傷しますが、これは冷却の失敗によって燃料ペレットが核分裂性のガスによって膨張し、被覆管が破損することを意味しています。膨大な崩壊熱から考えれば、原子炉はエンジンを切ることができても、ブレーキが利かない車のようなもので、間違えば暴走する可能性を秘めたシステムだということです。
 
福島原発1号機は2800℃となった燃料集合体の熱によって格納容器は500℃まで上昇しました。格納容器の役割は放射能を閉じ込めることですが、完全に密閉されているわけではなく開口部があります。上部にある上蓋(トップヘッドフランジ)のガスケットや電線管の貫通部(電気ぺネテレーション)をシールするシリコンは300℃を近くなると劣化して密閉機能を失い気体が漏れ出します。これが原子炉建屋の水素爆発の原因で、格納容器の「過温破損」と呼ばれるものです。
 
この事態ではフィルタベントは意味をなさず、セシウムを含む大量の放射能が環境に放出され、3月15日の福島2号機の格納容器破損で敷地境界の放射線量は12,000マイクロシーベルトを記録したことを忘れてはならないでしょう。この放射能は魚沼地域の汚染をもたらし、最近でも山菜のこしあぶらから基準(100ベクレル)を超えるセシウムが検出されています。
 
東電の安全対策では技術的な困難性から格納容器の漏洩防止の抜本的な対策はなく、技術委員会で「新たなシール材を開発中」と答えざるを得ませんでした。溶けだした核燃料を冷やすコアキャッチャーがないことや、水位低を水位高と全くあべこべに表示した原子炉水位計とともに設備面での安全対策の限界を知事は認識していて、この知見が「「注水できず格納容器が破損しフィルタベント設備を通さずに放出されるケース」の検討の指示になったのでしょう。
 
なにより炉心損傷まで最短24分で避難できるはずはなく、それを見越して屋内退避の基準を500マイクロシーベルトとしている国の原子力防災指針の欺瞞性を批判する言葉を私たちは磨かなければなりません。
 
金子貞男(原子力防災を考える長岡市民の会)
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