中国インディペンデント映画 『小荷(シャオホー)』

今回の『長岡アジア映画祭』をリニューアルするにあたっても、
やはり中国の映画を外せないという思いはありました。
報道で知る中国の“反日”の姿勢と外交的に横暴ともいえる姿への日本人が感じる“嫌中”、
そんな中であっても複雑な歴史も含めて中国は日本と切っても切れない関係といえ、
せめて映画を観ることによってかの国への思いを感じることはできないか、
それで東京特派員に何かいい映画はないかと聞いたうえで、
上映を決めたのが今回上映する「小荷(シャオホー)」です。
ご存知のように拝金主義がまかりとおり、そのおこぼれにさえ授かれない大多数の人民が占め、
大きな矛盾を抱えてる現在の中国。
ヒロインの小荷は高校の国語教師を勤めながらも型にはまらない授業で生徒からの人気があるものの、体制の管理下にある学校から、さらに田舎から追われるように都会の北京へ。
学歴も教養もあるのに理想通りに生きられないヒロインの姿を女性監督は自身が感じた思いを同化させるように描き切っています。
現実に妥協するのか、理想を貫くのか、困難な思いに揺れるヒロイン両方の姿が登場するラストシーンは様様なものを考えさせてくれるかと思います。
たぶん作り手は成長と格差という現代中国の矛盾を目の当たりにしてる現状をこの映画に込めていると思いますが、こうした体制に媚びへつらわないインディペンデント映画が続々と作られているのも中国映画の大きな強みではないかとも思います。
ついでに書けば本作には悪徳公安やら不倫など体制から観たらケシカラン、生生しいシーンが登場したりしますが、中でも印象深いのが映画の中で国語教師のシャオホーが教科書に載ってない作品を生徒に教えるのですが、その作家が日本の某文豪だったりしますのでご注目ください。
劉姝(リウ・シュー)監督からは『長岡アジア映画祭‘14』でこの「小荷(シャオホー)」をご覧になられるお客様よりメッセージをいただきました。
その末文を飾るのが下記のメッセージです。
“映画を通じて、私たちが互いに心を通わせ、友達になれることを願っています。
それこそが映画のもつ意義だと思うのです。”
本文は当日上映前に読み上げたいと思います。
11月2日(日)12時20分~ 市民交流ホールAにて上映
『小荷(シャオホー)』
2012年/中国/90分/中国語/カラー/原題“小荷”/英題“Lotus”
監督・脚本・製作:劉姝(リウ・シュー)
出演:譚卓(タン・ヂュオ)
協力 中国インディペンデント映画祭2013
田舎の高校で国語教師をしている小荷(シャオホー)は、型破りな授業をすることから生徒たちには人気があるが、保護者や同僚からは疎ましがられていた。職場の空気に耐えられなくなった彼女は北京に出て行くことにするが、北京での暮らしは理想とは程遠く…。
理想を持つほど生きづらい中国社会の現実を、女性監督らしい目線で描いた作品。主演は『スプリング・フィーバー』『ミスター・ツリー』でヒロインを演じた人気女優・譚卓(タン・ジュオ)。2012年ヴェネツィア国際映画祭国際批評家週間で上映された。
http://cifft.net/2013/xh.htm
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