廣木隆一監督 「さよなら歌舞伎町」

「自分の中で3,11が気になっている。
忘れられないように入れてるのがある」
3月7日 シネ・ウインドで初日を迎えた「さよなら歌舞伎町」に廣木隆一監督が舞台挨拶に来たので足を運びました。
シネ・ウインドの廣木監督舞台挨拶は2007年の馳星周先生原作「M」以来、
廣木監督とは昨夏の「ストロボ・エッジ」長岡花火ロケ以来になります。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-602.html
「さよなら歌舞伎町」は歌舞伎町のラブホテルを舞台にした人間群像劇。
「荒井さん、丸くなったなぁ」と上映後に観客が廣木監督に感想を伝えてましたが、
確かに“脚本・荒井晴彦”と構えて観ていたら、
登場する人々の滑った転んだを肯定的に受け止めてエールを送ってるような爽快さがありました。
もちろん諸事情を抱えた人々を暖かく見つめて演出していく
廣木監督の手腕も円熟の境地に達したかのように引き込まれていきました。
俳優さんの中で特に印象的だったのが韓国人のデリヘル嬢を演じたイ・ウヌという女優さん。
日本の風俗を韓国の女優さんにどのように説明したのか関心を持ちましたが、
文字通り身体を張った熱演はもちろん迫るものがありながらも、
本当に慈愛のオーラを出しながらお客さんを包み込んでいく姿は陳腐な表現で申し訳ないですがまさに“天使”
同じラブホテルを舞台にした日活ロマンポルノの名作「ラブホテル」の速水典子が乗り移ったかのようでした。
キム・ギドク監督の「メビウス」のヒロインだそうですが、こちらもぜひ観ようと。
しかし彼女がヘイトスピーチを目にして歌舞伎町を歩くシーンがありましたが、
現実にある風景をこの女優さんはどのように思ったのかも気になりました。
あと彼女が働くデリヘル店長を演じた田口トモロヲさんの好演も出番が短いとはいえステキでした。
そして重要なシーンの舞台となったルームナンバーは“311”
監督自身は福島出身だそうですが主要登場人物が震災の被災者として進路がズレてしまった挿話を入れ、
思わぬ形で本作の背景に東日本大震災があると知った時、
ちょうど未だに仮設住宅に暮らしてる被災者をテレビがレポートしてるのを見た後だけに、
さまざまな思いが胸に迫ったりと。
ついでに担当者は「冬のアルパカ」を撮影した際、ラブホテルも舞台だったので、
ほんの少しだけでも裏側を覗いたりしたことがあり、
確かに従業員さんと裏側で接してお話したら面白いエピソードがあるんだろうなぁ、と思ってました。
本年必見の一本に入れたい「さよなら歌舞伎町」は3月27日までシネ・ウインドで公開。
http://www.sayonara-kabukicho.com/
他にも廣木監督作は現在「娚の一生」が全国公開中。
http://otokonoissyou-movie.jp/
そしていよいよ明日からは廣木監督作として「ヴァイブレータ」「ニュータイプ ただ、愛のために」に続く新潟県内ロケ映画で長岡はフェニックス花火の只中で一発撮りしてた「ストロボ・エッジ」が全国で封切られます。
http://www.strobe-movie.com/
一か月に三作も公開されるなど尋常でないペースですが、
そのどれもがスター映画でもあることに廣木監督の作品への信頼の高さが伺えるように思います。
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