越後タイムス2 だれでも一、二ヵ所はずっと昔の自分が鏡に映し出された思いのする十代の物語です。

うきよ草
故郷は緑…の作品評
さる五月、柏崎を中心にロケーションを行ったニュー東映の『故郷は緑なりき』、9月初旬に封切られる。柏崎市民にとっては、本格的な映画ロケだったから、高校生や一般市民三百名が物珍しくエキストラに出演するやら、野次馬となって見物するやら、結構、話題となったが週間朝日試写室(荻昌弘)からその作品評を拾ってみる。…
エキストラ諸君あなたの好演技のせいではないが。協力のためでまずます好評である。乞う、ご安心。
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★…むしろこれは青春の遠ざかりを実感しはじめた人に贈る回想の初恋物語ではないか。雪の舞う長岡、柏崎近辺を舞台に高校生海彦(水木襄)と雪子(佐久間良子)の初恋がきよらかに語られている。ひたすら大仰さを押さえて、この恋を描ききった作者たちの節度は正当に認められなければならない。
★…何でもないことに見えながら、実はこの時代設定が微妙に巧い。若い男女の交際が観念的におおっぴらに解放されかけて、しかも、まだ、地方の因習は人前の恋を決定的に憎悪視していた、その混乱をこの幼い恋人たちは全身に負っている…この作品はよく日本的な心象としてつかんでいる。
★…おれはなんとよごれて年をとったかーそんな悔いがフッと心をよぎりそうな、だれでも一、二ヵ所はずっと昔の自分が鏡に映し出された思いのする十代の物語です。おとなの方々に
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ざっと以上の通りである。柏崎上映はまだ連絡がないのでわからないそうだ。
越後タイムス 昭和36年8月27日付
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http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-701.html
↑こちらに続いての昭和36年の柏崎のローカル紙・越後タイムスの今度はコラム欄にあった「故郷は緑なりき」について。
まだ柏崎は公開未定なようで週刊朝日の荻昌弘氏の批評を紹介していました。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-685.html
↑こちらでは佐藤忠男先生が賞賛していたという証言を平山前新潟県知事より得ましたが、
このコラムから荻昌弘先生も評価していたようです。
佐藤先生、荻先生ともに新潟日報の映画評の担当者でしたが、
肝心の現在の新潟日報は以下、割愛。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-697.html
↑こちらを読むと当時の新潟日報は夕刊扱いだったようです。
新潟日報はともかく柏崎日報、柏新時報と柏崎のローカル紙は今回の上映に際して多大なお力添えをいただきましたが、
残念ながら昨年末に休刊となった越後タイムスが思わぬ形で「故郷は緑なりき」に注目していたことを知りました。
しかし4月9日付を読むと木村功も出演する予定だったようなものの、結局かなわずどんな役だったのか気になりました。
それと4月9日付のコラムに小さく
〇十日、駅前で行われる東映「故郷は緑なりき」ロケ”高校生二百人貸してくださいョ…”とロケ班に申し入れられた柏高小池校長、なにしろ初めてのことなので、なかなかクビをタテにふらなかったが、最後は〝純愛〝と〝観光柏崎のため〝で落城。半日の日当三百円ナリ。但し冬の服装着用のコト。
↑書いてありましたが、なるほど当時は日当がついたのかと
それにしても柏崎の長岡ロケなび会員はなぜ当時の越後タイムスを持っていたのか、
今度たずねてみたいと思います。
ついでにこの8月27日付の紙面の片隅には柏崎の劇場で公開中の作品の案内があり、
昭和36年のこの時に柏崎の映画館では
柏崎東映 「新吾二十番勝負」 次週は小林旭、浅丘ルリ子
柏崎文化 鶴田・高倉・江原主演「花と嵐とギャング」 次週は高田浩吉・里見浩太郎主演「幽霊五十三次」、若山、近衛・桜町主演「怪談お岩亡霊」
柏盛座 「海賊王バイキング」 次週は宝田明・ユーミン・司葉子主演「香港の夜」に加山雄三の「大学の若大将」等々。
東映は大川橋蔵、鶴田浩二、健さん、高田浩吉、里見浩太郎、若山富三郎、近衛十四郎と駒をそろえ
日活がアキラに浅丘ルリ子、東宝が宝田明に若大将と各社とも映画黄金期にふさわしいスターが揃ってるなぁと、片隅とはいえ今読むととても貴重な資料に読めました。
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