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長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

新潟県長岡市で活動します長岡アジア映画祭実行委員会!です。

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第27回福岡アジア映画祭2013 映画祭巡礼記

市民映画館をつくる会ブログで大好評だったS東京特派員の映画祭巡礼記をこちらでまた復活します。今回ははるばる福岡まで27回目の「福岡アジア映画祭」です。 http://www2.gol.com/users/faff/faff.html 1060037_497847140302266_860932981_n.jpg 福岡アジア映画祭で5本の長編コンペ作を見てきました。 例年7月上旬にドキュメンタリーと劇映画と2週に分けて上映するスタイルの映画祭で、いつも劇映画に合わせて見に行っていますが、ドキュメンタリー映画もなかなか興味を惹かれるラインナップ。いつかドキュメンタリーも見に行ってみたいと思っています。 1062212_497852356968411_1616538726_n.jpg「パパロッティ」韓国 ユン・ジョンチャン監督 やくざの世界に生きる高校生がその才能を生かしてくれる教師に出逢い、声楽家になるー嘘みたいな話ですが実話だそうです。でも実話ということに安心してしまって映画としてのリアリティが欠けてしまったようでそこはちょっと残念に感じました。教師役のハン・ソッキュは挫折した元声楽家という設定。最初はやさぐれていた彼が才能ある生徒と出会ったことで生徒も変わるが彼自身も変わっていく。師弟関係とは一方方向ではない、という展開は感動的だったと思います。ハン・ソッキュは笑顔が似合う人なので最近のハードなシリアス路線なんかよりだんぜんよかったです。 生徒役のイ・ジェフンは「高地戦」や「建築学概論」などにも出演していて最近の注目株。 1062773_497849650302015_1805514414_n.jpg「鋼鉄テオ」韓国 ユク・サンヒョ監督 85年を舞台にした映画で、ジャージャー麺屋の出前持ちテオが女子大生にひとめぼれしたことから学生運動に巻き込まれてしまうというコメディ映画。ユン・サンヒョ監督自身この時代学生運動に参加していたそうで、就職活動のために大学に行くような現代の学生たちに向けて作った作品とのこと。でもこの映画の学生も理想に燃える純粋さはあるけどそうとう頼りなく、自分自身も笑いの対象にしてしまうユン・サンヒョ監督のコメディセンスはすばらしい。主人公のテオに扮しているのはキム・イングォン。ユン・サンヒョ監督の前作「パンガ?パンガ!」に引き続き主演。「マイ・ウェイ12,000キロの真実」のしたたかに生き残る男や「クイック!」でひたすら主人公のじゃまをする男など印象的な脇役を演じてきた人ですがじょじょに主演も増えてきているようです。今回も最初はブルース・リーかぶれの変人で女子大生の後をつけまわす変態にしか見えない導入部から後半見違えるような変化を見せて素晴らしかったです。 1060983_497848306968816_1048673917_n.jpg 「ウエディング・スキャンダル」韓国 シン・ドンヨプ監督 偽装結婚がばれ本国に強制送還される姉を救おうとふたごの妹が姉に扮して姉の夫との中睦ましい写真を撮り本当の夫婦である証拠にしようとする。それに巻き込まれた偽装結婚の相手のフリーターの男が巻き起こす珍騒動。はたして妹の計画は成功するのか? 妹とその双子の姉を演じたクァク・チミンがかわいい映画でした。 1057350_497849083635405_151884090_n.jpg 「おばあちゃんの秘密」台湾 チュウ・ヨウニン監督 冒頭、主人公の男性が祖母の思い出をなにやら書いていて、その様子をその当のおばあちゃんが傍らで見つめている、という不思議なシーンから始まるある一家の物語。チョウ・ヨウニン監督の実体験が元になっているらしくどこの家でもあるようなエピソードの積み重ねがいい。主人公に扮しているのはクー・ユールン。去年の福岡アジア映画祭で上映された「ジャンプ!アシン」では主人公の親友役をやっていた人、というか「エドワード・ヤンのカップルズ」の主人公だった人ですね。今回も学生時代から妻子ある30年代まで演じていて相変わらず若々しいです。あとこの映画のすごいのは何と言ってもおばあちゃん役のチャン・シウユン。実際の年齢は90歳近いとのことですがぜんぜんそうは見えない演技力というか身体能力。台湾ではふつうかもしれないですがヘルメットなしで走るバイクの後ろに乗っていたりします。すごかったです。 992242_497850833635230_797955247_n.jpg「アングリー・キッズ」中国 ホアン・レイ監督 家族がかまってくれないことに腹をたてて家出した少年がギャングに追われている少女を助ける、という子供が主役の児童映画。主人公の少年役のワン・イーミンはテレビに出てマイケル・ジャクソンの踊りで有名にになった子供だとのこと。テレビの人気者が映画出演というのはどこでもあるようです。少年の両親は海外生活をする富裕層で、一方少女のほうは人身売買の犠牲者と、今の中国の貧富の差を盛り込んだ設定になっているなど子供向けといってもなかなか侮れない映画。監督のホアン・レイは中国ニューウェーブの「黒砲事件」や「王さんの憂鬱な秋」などのホアン・チェンシン監督の息子。ホアン・チェンシン監督は最近では「健党偉業」など大作にもかかわっていてこの映画ではプロデューサーを務めています。中国映画の移り変わりを感じさせる映画でした。 今回見たのは以上の5本。これらはコンペティションの対象作品でもあり、今回は「パパロッティ」がグランプリに輝きました。 この映画祭はすべてゲストとして監督が来ていて上映後には観客と質疑応答があります。これは観客にとっても作品をより深く知る機会であるだけでなく、監督のほうにとっても日本の観客の生の反応を知る機会でもあり、映画祭らしい唯意義な時間になっていたのではないでしょうか(特に中国は最近のできごとの影響で去年の東京国際映画祭では作品そのものがキャンセルになったりしたことを考えるとホアン・レイ監督が福岡に来て質疑応答を受けてくれたことなどはちょっと大げさかもしれませんが日中関係改善のひとつではないかとすら思えます)。 去年特別上映された「折れた矢」やコンペ作「不気味な恋愛」、一昨年のグランプリ「ハロー!?ゴースト」、コンペ作「超能力者」「深夜のFM」などこの映画祭発の公開作品も多く「パパロッティ」も公開が決まっているようです。これからも良質のアジア映画の発信地として続いていってほしい映画祭です。例年博多山笠の時期に開催されるので他の地方に住むアジア映画ファンも観光を兼ねて足を延ばして見てはいかがでしょうか?
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