長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

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第28回東京国際映画祭  ~映画祭巡礼記~

S東京特派員の映画祭巡礼記。
今回は東京国際映画祭。
いろんな意見が耳に入ったりしますが、中国映画に絞れば変動していく中国の姿をまるまる目撃できるようにも思いました。
読み応えのあるレポートありがとうございます。
次はフィルメックスになるのか、またよろしくお願いいたします。

東京国際映画祭公式HP http://2015.tiff-jp.net/ja/

東京国際映画祭メイン会場のTOHOシネマズ六本木ヒルズ
東京国際映画祭メイン会場のTOHOシネマズ六本木ヒルズ

今年の東京国際映画祭ではコンペティション2本、アジアの未来2本、ワールド・フォーカス4本、CROSSCUT ASIA#2で1本、それに中国映画週間で6本を加え全部で16本を見ました。
国別では中国9本、台湾3本、韓国・タイ・フィリピンが1本づつという内訳です。

「ぼくの桃色の夢」Q&Aの様子
「ぼくの桃色の夢」Q&Aの様子

「ぼくの桃色の夢」は監督のハオ・ジエの自伝的な作品。
「85%は事実」とのこと。不良の暴力が荒れ狂う中学時代にめぐり合った初恋の恋人との恋愛ストーリーは後半予想外の展開を見せ、前半のキャスティングの不思議さ(ヒロイン役は同じ人なのに主人公役は中学時代の子役が高校時代にとつぜん30代の俳優が演じる)がなるほどそういうことだったのかと判明し、とてつもない感動を覚えたのもつかの間、さらに予想外のとんでもないラストが待っているという不思議な作品。いや、面白かったです。

「少年バビロン」のQ&Aの様子
「少年バビロン」のQ&Aの様子

「少年バビロン」は90年代中ごろの地方都市の大工場を舞台にした少年の自立を描いた作品。国営工場に入れば後は一生安泰みたいな生活が崩れた時代で、少年の憧れの女医との恋愛もまた同じ夢に過ぎなかった、というラストが切ない。
現在の中国人から見たらまるでコメディみたいな世界として当時の中国が描かれているのが新鮮でした。

「ひだりみみ」舞台挨拶の様子
「ひだりみみ」舞台挨拶の様子

中国映画週間からは「ひだりみみ」。
ベストセラー小説の映画化でなんと日本円で75億ぐらいの興行収入をあげたヒット作。大人になった主人公が過去を回想するスタイルの青春ラブストーリーが多いですがこれもそんな一遍。
十代の青少年はまだまだ未熟で恋愛もうまくいかないというのが基本認識です。
日本の漫画原作の青春映画とはその辺がちょっと違います。
この映画ではこれがデビュー作のヒロインチェン・デゥリンの新鮮さも魅力でした。

「ユア・マイ・サンシャイン」も原作ありの恋愛映画。
まるで韓国ドラマのような事件が次々と起こるのでおかしかったです。
そんな内容と関係ないとは思いますが元EXOのメンバーがチョイ役で出ていてそのファンがつめかけて満員。
ホントにいてもいなくてもいい役なんですが。歌手のファンのすさまじさを思い知りました。

「愛のカケヒキ」は香港のパン・ホーチョン監督作ですが肩のこらないラブコメディ。
ジョウ・シュンの魅力を最高に引き出していて、手堅く中国で仕事してる感じ。これは面白かったです。

「モンスター・ハント」は中国映画最大のヒットになったファンタジー時代劇。
妖怪の世界の争いのため人間界に逃れてきた妖怪の王子とそれを助けることになる気の弱い男と妖怪ハンターの女の子のコンビが悪の妖怪と戦うという話。
妖怪の王子のかわいらしさとかもう観客の好みを徹底的に調査したであろう完璧な作りこみで、中国映画すごいことになってきたなと思わされました。

「十二公民」はそんなマーケティング中心の激烈な中国の商業映画の世界とはちょっと離れた作品で、それゆえ制作には苦労もあったようですが「十二人の怒れる男」の翻案を中国で作る、というなかなか挑戦的な映画。
中国映画には検閲があるのですが、上映後の監督のトークでそこでのやりとりが興味深かったです。

「ソング・オブ・フェニックス」は去年なくなった呉天明の遺作をアンコール上映。
時代に取り残されていく伝統芸能の継承、師匠と弟子、そして動物という巨匠の最後の歌にはやっぱり泣かされました。

東京国際映画祭に戻ると、チベットの遊牧民の一家の物語、「河」。
なんといっても主演女優、一家の幼い娘役のヤンチェン・ラモの演技がすばらしい。
それもそのはずで監督によれば、この子のためにこの映画を撮ったのだとか。
すでに上映された各国で女優賞を受賞してるのも納得で見た人はみんな好きになってしまうかわいらしさ。
「チベット人によるチベット語の映画をたくさんの人に見てほしい」と監督。
日本でも公開を期待したいです。

「風の中の家族」のワン・トン監督
「風の中の家族」のワン・トン監督

台湾映画では「風の中の家族」。
巨匠ワン・トンの久しぶりの監督復帰作。
1949年、国共内戦に敗れて台湾にやってきた1兵士の戦後の苦難の人生を描いた映画。監督によれば、現在の台湾の若い人にとって自分の曽祖父ぐらいにあたるこのあたりの歴史はあまりもう知られていないらしく、自身が大陸出身のワン・トン監督はどうしても自分が今伝えなければという思いがあったのではないでしょうか。
若い出演者たちにとってもこの巨匠との仕事は台湾映画史の継承ともいえそうです。

「百日草」のトム・リン監督(左)と出演のシー・チンハン(右)
「百日草」のトム・リン監督(左)と出演のシー・チンハン(右)

「百日草」はパートナーを事故で失ったふたりの男女の喪失感を描いた作品。
トム・リン監督は12年の「星空」以来の新作ですが自身の奥様をなくされた経験を元にした作品とのことです。
タイトルのようになくなってから100日間の物語でその間の主人公の心境の変化がリアルに感じられました。
主人公をカリーナ・ラムと五月天のシー・チンハン(ストーン)が演じていますがこのふたりの間にまったくドラマチックな関係がないのも大胆な構成です。

「The Kids」のサニー・ユイ監督
「The Kids」のサニー・ユイ監督

「The Kids」は十代のカップルの妊娠、出産という問題を扱った作品。
貧しい家庭環境がもたらす現実と過去の恋愛部分との対比が容赦なく、若いカップルが追い詰められていく過程を甘さを排して描いていてこれが監督第1作目のサニー・ユイ監督これからが楽しみです。

タイ映画「スナップ」は大学時代の恋人が親友の結婚式で再会、というストーリーで、恋愛映画かと思いきや、生きてるとかかわりがあってもその後まったく自分の人生から消えてしまった人もいるよね…あんなに親しかったのに…というさみしさについての映画でした。
楽しかったあの頃の記憶も後から上書きされたものかもという人間の不確かさ、残酷さ。
娯楽作品を手がける一方で大阪アジアン映画祭で上映された「P-104」なんてアート系作品もあるけっこうふり幅の大きなコンデート・ジャトゥランラッサミー監督の物の見方が映画に反映されているようで面白かったです。

CROSSCUTASIA#2のフィリピン映画特集の10本のうち半数の5本をしめるプリランテ・メンドーサ監督の08年制作の「サービス」は80年代の家族経営のポルノ映画館が舞台。
その迷路のような映画館は魅力的ですが監督によればこれはモラルに関しての映画とのことで、ハッッテン場と化した劇場、それを黙認する経営者家族など「反ニューシネマ・パラダイス」的な映画で、感動とは無縁の猥雑な魅力がありました。

「今は正しくあの時は間違い」は韓国のホン・サンス監督の新作。
加瀬亮主演の前作では時間軸をバラバラにした物語でした。
この監督、「時間」に常にこだわっているように思えます。
今回はSFのパラレルワールドのように主人公が失敗する「あの時」と成功する「今」を並べてみます。
人生もこんな風にやり直せたら、と思っているかのようです。
過去作の「3人のアンヌ」も似たようなタイプの作品でした。
あともうひとつホン・サンス作品の特徴として恋愛というか女性に対する欲望というか、主人公の行動がいかに女性を口説き落とすか、にほぼ限られるという大特徴があるのですが、最近はかなり淡白になってきている、という変化を見るのもほぼ毎年新作を発表しているホン・サンスの新作を見る楽しみだと思います。
娯楽だけではない映画の楽しさを味わうことができた東京国際映画祭、そして中国の商業映画の今のトレンドを見せてくれた中国映画週間と盛りだくさんで満足度の高い1週間でした。

これ以外にもたくさんの上映作品があり、それら多様な作品が今後日本の映画館で上映されていくことを期待したいと思います。
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