再び『我々のものではない世界』

“パリで大規模な「テロ」が起き、世界中で大騒ぎになっている。ベイルートでもほぼ同時にそれに匹敵する大きな「テロ」事件が起きたが、こちらはそれほど大騒ぎになっていない。”
「選挙」「精神」と観察映画と呼ばれるドキュメンタリー映画を撮りつづけている想田和弘監督。
リベラルの立場でSNSを中心に発言をしていますが、一番新しいコラムの冒頭はこんな文章で始まっていました。
完全に失敗した「テロとの戦い」
http://www.magazine9.jp/article/soda/24081/
これに続いてパキスタンで米軍の空爆を受けた民間人の記事を取り上げながら、
米軍の被害を受けてるパキスタンに世界がいかに無関心でいるか、
米軍が「テロ」との戦いでいかに多くの犠牲者が出しているか、
そこに「テロ」がなくならい理由があるのではないかと考察しています。
昨日の新潟日報でもパリのテロに比べてベイルートのテロがほぼ報じられてない現状に苛立ちを覚えるレバノンからの記事が掲載されていました。
映画祭ポスターはじめ今年8月に開催した“平和の水 献水式”のポスターをデザインいただいたカーラさんはレバノンから長岡に留学。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-826.html
現在は母国レバノンのベイルートで生活しており、今回のテロでは幸いにも無事だったようで胸をなでおろしました。
担当者はベイルートでおきたテロを知りカーラさんの悲しみを思い浮かべることができましが、
もしカーラさんと出会わなければこのニュースは素通り、無関心でいたのではと思うと心寒いものを感じました。
昨年の『長岡アジア映画祭’14』にて『我々のものではない世界』を上映しました。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-499.html
レバノンのパレスチナ難民キャンプで暮らす鬱屈した若者にキャメラを向け続けた作品です。
昨年、久しぶりに長岡に来たカーラさんに会いレバノンで撮影した作品を上映する、
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-513.html
とお伝えしたらレバノンがこんな暗い国と思われるのがいささか不本意な様子でしたが、
おそらくカーラさんの過ごしたベイルートは“中東のパリ”と呼ばれるほど美しい街なので、
そういったイメージを持ってほしいと思ったのではないかと。
その美しい街が悲しみに包まれていることをカーラさんを通して想像し多くの犠牲者にお悔やみを申し上げます。
『我々のものではない世界』の被写体となった若者は鬱屈した難民キャンプを飛び出したところで映画は終わりましたが、
監督のインタビューによれば確かその後にドイツで暮らしているとのこと。
この映画を観れば隔絶された世界で生きることを強いられてる若者が中東にいること、
その鬱屈した心根を見透かし、テロの世界へと誘う者がいることが容易に想像できる気がします。
昨年の映画祭で観た方はどんな感想をお持ちになったか、連日パリから送られてくる報道と想田監督のコラムを合わせ読み、カーラさんのことを思いながら、大変気になったりしています。
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