長岡アジア映画祭実行委員会!ブログ

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『第16回東京フィルメックス』 映画祭巡礼記

S東京特派員の映画祭巡礼記。
今回は東京フィルメックス2015です。
読んでいただければ、S特派員がこの映画祭の最上級のファンであることが理解できると思います。

侯孝賢、 陳可辛、趙薇、蔡明亮、李康生、張艾嘉.、杜琪峰、そして周潤發とレポートに登場する中国語圏の映画人の漢名ですが、担当者はこの名前を目にするだけでときめいた人たちなんで読んでて感慨深く思いました。
ただシルビア・チャンがようやく日本で評価されてるのは「上海ブルース」の頃からのファンとしては遅いでしょ、と一言思いました。

S特派員、中国インディペンデント映画祭もお願いします。

http://filmex.net/2015/

今年のフィルメックスのポスター今年のフィルメックスのポスター

毎年東京フィルメックスは行ってますが、今年はいつもにも増して面白かったです。
以下、見た映画について思いつくままに感想を書いていきたいと思います。

ネパール映画「黒い雌鶏」は農村が舞台の2人の少年の友情物語ですが、基本1羽の雌鶏をめぐる他愛のない話を進めながら背景に2人のカーストの違いから差別問題、さらに実は内戦状態にあるという背景が徐々に浮かび上がってくるさりげない語り方がよかった。

「わたしの坊や」のジャンナ・イサバエヴァ監督
「わたしの坊や」のジャンナ・イサバエヴァ監督

カザフスタン映画「わたしの坊や」はソ連時代の環境破壊により生活の基盤を失った地域で、(明確にされてはいないもののたぶん汚染の影響で)余命わずかとなったひとりの少年が溜め込んでいた怒りを爆発させるという社会派とバイオレンスと母子の愛情物がミックスされた映画。現実に荒廃した風景を使った映像の迫力で魅せました。

タイ映画「消失点」は交通事故の生々しい映像から始まって、あとは最後まで説明を排した映像が続くというかなり難解な作品。
私の想像では最初の事故の死者たちの回想、あるいは地上を自分が死んだのも知らずにさまよっている姿かも。
あまり見たことの無い作品で、こんな映画もあるのかと新鮮に感じました。

「人質交換」上映後のQ&A。立ってるのがレムトン・シエガ・ズアソラ監督
「人質交換」上映後のQ&A。立ってるのがレムトン・シエガ・ズアソラ監督

フィリピン映画「人質交換」は97分の映画ですがなんとワンカット!
上映後のズアソラ監督によればこれには2つ理由があって1つは元々演劇をやっていたので始まったら終わるまで途切れない芝居が好きなこと。そしてこの映画は監督が幼少時に誘拐された事件を映画化したものだけどあまりに幼いころなので自身の記憶はなく、関係者に取材するとけっこう記憶が食い違っていてその多重な視点を表現するためとのこと。
なんとユニークな。それにしてもデジタル撮影でなければ実現できないアイディアで、映画の表現の広がりを感じさせてくれた作品。見終わった後はひとりで興奮してしまいました。

イラン映画「タクシー」はイラン政府から映画製作が禁止されているのにかえって以前よりコンスタントに「映画」を作っているんじゃないかという「これは映画ではない」のジャファル・パナヒ監督の新作。
タクシーの車載カメラが映した庶民という体でタクシーの車内だけで話しが成立してしまう驚き。
ビデオ映像が現実とフィクションをあいまいにさせてしまう面白さ。以前まであった抵抗のための映画という気負いが感じられない自由さとユーモア。おしゃまな女の子も登場。
ベルリン映画祭金熊賞も納得の傑作。わかりやすいし笑える場面も多いので公開してほしいですね。受けると思います。

東京フィルメックスは新作だけでなく日本ではあまり知られていない海外の古典も紹介してます。
今年はフランスのピエール・エテックスの特集。4本しか監督作がなく日本では1本公開されただけ、という幻の作家。
今回上映された2本もこれが日本初上映。「大恋愛」はコメディ映画ですが今では見られないようなぶっ飛んだとぼけたギャグが満載でものすごく新鮮でした。

ホウ・シャオシェン監督(左)
ホウ・シャオシェン監督(左)

最先端の映画を追う一方でベテランへのリスペクトも忘れないという点では今回は台湾のホウ・シャオシェンの特集がありました。「風櫃の少年」は今回が初見。
デジタルリマスターされた鮮明な映像はまるで当時の台湾をそのまま見ているかのよう。
続けて「戯夢人生」を見ることでホウ・シャオシェン監督がいかに作風を進化させていったかも見れて興味深かったです。
また「戯夢人生」のほうはデジタル化されてないようで35mmフィルムでの上映でした。
デジタルが普及する一方でフィルム作品の上映が困難になっている問題を感じさせます。

「最愛の子」ピーター・チャン監督
「最愛の子」ピーター・チャン監督

公開間近の香港のピーター・チャン監督の新作「最愛の子」も上映されました。
チャン監督も多くの香港映画の監督と同じように今は中国で映画を製作しているわけですが中国国内の児童売買という社会問題をあえて商業映画で取り上げるのは上映後のQ&Aで監督が熱く語ってるように年齢的にもただの娯楽作品ではなく社会的に意味のある作品を作らねばならないという使命感からという風に感じられました。
もちろんベテランならではのストーリーテリングと深みのある人物造形、またヴィッキー・チャオをはじめとする出演者の熱演もあり見ごたえのある社会派娯楽映画だったと思います。
ラストのモデルになった実際の映像が出るのは反則。とうとう泣いてしまいました(笑)

「あの日の午後」ツァイ・ミンリャン監督(左)、出演のリー・カンション(右
「あの日の午後」ツァイ・ミンリャン監督(左)、出演のリー・カンション(右)

また、もう引退宣言はどうなったのと誰も思わないツァイ・ミンリャン監督の新作「あの日の午後」も従来の映画の概念からするとそうとう型破り。
なにしろ元々はツァイ・ミンリャン監督の本が出版されることになりその本のために企画された常連俳優のリー・カンションとの対談の記録用映像で二人が座っているのを収めたカメラは最初から最後までずーっとすえっぱなしでまったく動かない。
この映像を見てツァイ・ミンリャン監督は映画になる、と確信したそうですが、確かにふたりが座る廃墟の窓から見える風にそよぐ南国の森の木々もいいしツァイ・ミンリャンの「告白」がふたりのあいだに微妙な雰囲気をもたらしていて、会話だけでもこんなスリリングなことが起こるのかとちょっとびっくりするほどでした。
特に引退後のツァイ・ミンリャン監督にはこれで映画になるんだ、ということも含めて毎回驚かされていて、今もっとも次回作が楽しみな監督のひとりです。

コンペティションの審査員としてシルビア・チャンが加わっていて、彼女の監督・出演作が3本も上映されたのはファンとしてもうれしかったです。
香港映画「華麗上班族」はジョニー・トー監督作。
しかもミュージカルでありトー監督初の3D作品。原作が演劇だからか、骨組みだけのセットなのも異色ですが3D映像を念頭に置いたものなのは疑いなく、今回は2D版での上映でしたが「これが3Dならすごい映像になっていただろう…」と思わずにはいられないシーンの連続で、さすがトー監督と唸りました。
ミュージカルといっても「奪命金」に通じる内容なのでチョウ・ユンファなど豪華出演者の力をもってしてもあまり楽しくないのですが3D効果が加わればもっと楽しめたのでは(トー監督もそう計算していたのでは?)とも思えるのでできれば3Dで日本公開を!

台湾・香港映画「念念」はシルビア・チャン監督作品。
この作品を見て思ったのですが、作品自体はもともと地味な内容なのにシルビア・チャンがかかわることで豪華なキャストが集まり商業作品になってしまう…そして観客がキャストから期待する内容と違ったものを見せられたように感じてしまう。
――想像ですが、なにかそんなかけ違いが感じられる作品でした。
シルビア・チャンは日本未公開の監督作品まだまだ残っているのでこれをきっかけに日本でも見れるようになってほしいですね。

私が今回見れた作品は以上なのですが、またしても、という感じで今年もコンペの最優秀作品賞と審査員特別賞が見れないというジンクスが発動してしまいました。しかも今年の作品はどちらも中国映画なのでよけいくやしい(笑)

日本は海外に比べたらアート系映画が上映される機会が多いそうですがそれでも映画祭で上映されただけという作品も少なくない。
やはりもっともっとフィルメックのような映画祭での上映をきっかけにして広く全国の映画ファンに見てもらえるようになってほしいものだと思います。見れば面白さを感じる人はきっと多いと思うので。

また個人的には12月12日から始まる中国インディペンデント映画祭に期待しています。フ
ィルメックスで受賞した2本の中国映画「タルロ」「ベヒモス」のように今の中国独立映画の勢いを感じさせてくれると思います。
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